毎日忙しく働いているけれども、仕事が思うように進まなかったり、いまひとつ達成感を感じなかったり、実際、予定より成果が得られないと思っていたりしないでしょうか。
特に、リモートワーカーや、ひとりで働いているフリーランスの方は、時間管理がおろそかになって、タイムマネジメントの必要性を感じているかもしれません。
タイムマネジメントにおいては、タイムブロッキングを行うことで、仕事の質を向上させて生産性を高め、日々のストレスを軽減することができます。
タイムブロッキングは、おそらく最高のライフハック(仕事ハック)のひとつで、とても簡単に導入することができます。時間をブロックに分けるだけで、ワークロードも管理でき、より短時間で生産性を高めることができるのです。
ここでは、どうすればタイムブロッキングを正しい方法で行うことができるかを、手順を追って説明します。
タイムブロッキングとは
タイムブロッキングとは、1日を時間のブロックに分けて、分割したブロックにひとつのタスクを割り当てることです。
例えば、その日に取り組まねばならない3つのプロジェクトがある場合、最初の3時間をプロジェクトAに、次の3時間をプロジェクトBに、最後の3時間をプロジェクトCに割り当てます。
タイムブロッキングを導入していない場合、大抵は、プロジェクトAのタスクを1時間行ったけれども、プロジェクトBが気になってプロジェクトAをやめてプロジェクトBに手を出し、30分すると今度は、やりかけのプロジェクトAが気になってプロジェクトAに集中することに決め、再びプロジェクトAの作業を開始し、2時間すると次にはプロジェクトCがあまり進んでいないことに気づいて、プロジェクトCをやり始める、といった具合になります。

タイムブロッキングを導入することで、1つのタスクに集中することができ、生産性が向上するため、1日の労働時間を減らして、家族と過ごしたり趣味に充てる時間を増やすこともできるようになります。
タイムブロッキングの利点
タイムブロッキングの導入は、日々の仕事習慣を大きく変えてしまいますが、慣れてしまえばそのメリットは計り知れません。以下にタイムブロッキングの3つの利点を挙げます。
1. 仕事がはかどる
タイムブロッキングを活用すると、あれこれと気が散ることもなく1つのタスクに集中できるので、生産性が上がり、これまでよりも1日にこなせる仕事量が増えます。別のタスクのために今行っている作業を止めることが無くなるので、プロジェクトの進捗をより確実にすることができます。
2. 仕事の質が向上する
タイムブロッキングによって1つのタスクがブロック化されるので、他のタスクに影響されずに集中力が高まります。これによって、仕事の質が大きく向上します。より多くのタスクをこなせるだけではなく、ひとつひとつの仕事のクオリティが上がります。
3. ストレスを感じなくなる
しなければならない様々な仕事があると、すべての仕事が終わっていないことを気にしてストレスが溜まります。常に急かされていると、心身に悪影響を及ぼします。タイムブロッキングで仕事の計画を立てれば、このストレスから逃れられます。
効果的なタイムブロッキングのつくりかた
タイムブロッキングは簡単に導入できそうに思うかもしれませんが、毎日のルーチンをまるっと変えることになりますので、慣れないうちは上手くいかないこともあります。しかし、誰でもこの失敗を乗り越えられます。ここでは、タイムブロッキングのコツ交え、タイムブロッキングカレンダーをつくる際の手順をご紹介します。
1. 優先順位を決める
すべてのタスクが大事なことではないでしょう。どのタスクが重要で、どのタスクが重要ではないか、どのタスクが必要以上の時間を費やしているかを見極めます。すぐに行わなければ最も大きな悪影響が出るプロジェクトやタスクはどれでしょうか。これが最も優先度の高い、緊急で重要な最優先タスクです。
次に、すぐは行わなくとも大きな問題にはならないけれども、完了させると大きなプラスになるプロジェクトやタスクを選びます。これが、緊急ではないけれども重要なタスクですので、これを優先タスクとします。
優先順位を決めるコツ
優先順位付けをしていると、大きくプラスになるわけでもなく、かといって大きくマイナスになるわけでもない、すなわち、しようとしまいと大した影響のないタスクが見つかります。こういったタスクは重要ではないので、破棄するか、最低でも他の人に任せましょう。そうすることで、重要なタスクに費やす時間を大幅に増やすことができます。
2. 週をブロッキングする
毎日の時間をブロッキングする前に、週から始めます。可能なら、1週間のうち数日を特定の活動に充てるのです。3つのプロジェクト、ミーティング、管理業務を抱えている場合、例えば、以下のように組み立ててみます。
- 月曜日:ミーティング
- 火曜日:プロジェクトA
- 水曜日:プロジェクトB、プロジェクトC
- 木曜日:プロジェクトC、管理業務
- 金曜日:管理業務
週をブロッキングするコツ
特定の活動をランダムに各曜日に割り当てるのではなく、ある活動を別の曜日にすることで、よりよい結果が得られるかもしれません。火曜日に管理業務を行うと、水曜日からのプロジェクトがよりスムーズに進むこともあります。
3. ブロックを作成する
次は、1日を、実際に仕事をするブロックで組み立てていきます。1日のうち、最も適していると思う時間帯に合わせて、それぞれのタスクを割り振っていきます。集中力の出る時間帯に最優先タスクを配置し、そうではない時間帯には優先度の低いタスクを割り当てます。
それぞれのタスクを最速でこなした場合の時間で組み立てがちですが、総じて、タスクをこなすには思ったより時間がかかるものです。ですので、余裕を持った時間を確保してブロックをつくっていきます。
ブロックを作成するコツ
どんなに綿密に計画を立てても、突発的なタスクが生じることがあります。タイムマネジメントにおいては、こうしたリスクに備えなければなりません。予定が狂わないようにするには、不測の事態に備えた計画が必要です。
想定外の問題に対処するための時間を確保しておくことで、予定していたタスクに取り組む時間を増やすことができます。
4. 休憩時間を設ける
計画的に休憩時間を設けておかなければなりません。集中しているときは、休憩を切り上げて作業を続けることもできますが、計画的に休憩することで、仕事を続けるモチベーションが高まります。
人間誰しも、やる気が出なかったり、ついスマートフォンでSNSをし始めたり、YouTube動画を見てしまって、短時間しか仕事ができなくなることがあります。そのために、休憩時間を計画しておくことが必要です。
休憩時間を設けるコツ
仕事の途中でよく脱線してしまう方は、25分間の作業と5分の休憩で区切る、タイムマネジメント方法のひとつ、ポモドーロテクニックを採り入れるのも手です。
5. 共同作業を考慮する
他の人が関わるミーティングを、一方的に月曜日に行うと決めるわけには行きません。協力してメンバー全員にメリットのある解決策を決めましょう。
タイムブロッキングについて説明し、これが有効であることに納得してもらえれば、ミーティングを特定の日にまとめてしまう要望を受け入れてくれるでしょう。ただし、この提案が他のメンバーにどのような影響をもたらすかを十分に考慮しなければなりません。そして、妥協も必要です。
共同作業を考慮するコツ
凝り固まらず、柔軟に対応します。水曜日に決めていた仕事を、月曜日にやらなければならないことがあれば、適宜変更すればよいのです。
タイムブロッキングは完全なものでも絶対に守らなければならないものでもありません。可能な限りのことをすればよいのです。スケジュールが乱れることは避けられないと考えておいたほうがよいでしょう。タイムブロッキングの目的は、できるだけ仕事の効率を上げようとしているだけだからです。
6. タイムトラッキングツールを使う
タイムトラッキングツールを使い、1週間毎にパフォーマンスを確認します。タイムトラッキングツールを使えば、1週間のうちどのタスクにどれだけの時間を使ったかが把握できます。
最初に決めたプロジェクトスコープは、常に現実よりも時間がかからないように見えがちなのですが、実際取り組んでみると、あるタスクが当初の予定より時間がかかっていなかったり、逆に大幅に時間がかかっていたりすることがあります。それを発見できれば、次の予定が組みやすくなります。無駄な時間や非効率な作業を発見できれば、よりタイムマネジメントを最適化していけます。
タイムトラッキングツールを使うコツ
タイムトラッキングツールやアプリは、なるべく機能が少なく簡単に扱えるものを選ぶのがコツです。複雑な操作を必要とするものは、タイムトラッキング自体に時間を費やすことになり、タイムトラッキングの管理が非効率な作業となってしまうと、本末転倒です。Excelに慣れているのであれば、Excelでのタイムトラッキングも可能です。
タイムブロッキングに役立つソフト
個人が自分のスケジュールを管理したりブロッキングできるソフトウェアもありますし、従業員の時間を管理するための管理者向けタイムレコーダーの中にも、タイムブロッキングに役立つものがあります。
Plan
Planは、Webブラウザ版とiOS、macOS用のアプリで使える、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるシンプルなインターフェイスのスケジュール管理ソフトです。GoogleカレンダーやOutlookとも統合でき、カレンダーに登録されている予定を組み込んで、タスクやプロジェクトのタイムブロッキングを素早く行えます。
HourStack
HourStackは、Androidにも対応しています。HourStackにはタイマーが組み込んであるので、タイムブロッキングで最初に見積もった時間と実際に費やした時間とを比較することが可能で、タイムマネジメントを最適化していくのに有効です。Googleカレンダーとも統合しています。
Planyway
Planywayは、Webブラウザ版のみ提供されています。Trelloと連携しているので、プロジェクト管理やToDoリストとしてTrelloを使っていれば、Trelloからタスクをドラッグ&ドロップしてタイムブロッキングできます。Google、Outlook、Appleのカレンダーとの連携も可能です。
When I Work
When I Workは、従業員の管理向けのプロジェクト追跡のためのソフトですが、個人でもシフトスケジューラーを活用してタイムブロッキングとして使うことが可能です。チームで仕事をしているのであれば、スケジュールを共有して有効に使えるでしょう。
TimeCamp
TimeCampは、タイムトラッキングを主軸にした、タスクやプロジェクト計画に費やされた時間を記録し、生産性を管理することを目的とした、フリーランサーまたはチームのためのソフトウェアです。詳細なレポートを提供しているので、どの作業に時間がかかって何を調整する必要があるのかを検討できます。Trello、Asana、Basecampなど主要なプロジェクト管理ツールと統合できます。
生産性向上のためのソフトウェアを試してみる
生産性を向上させるには、タイムブロッキングに使える時間管理ソフトやスケジュール管理ソフトも使えますし、プロジェクト管理ソフトも役立ちます。プロジェクト管理ツールは、タスクを整理したり、時間をスケジューリングしたり、あらゆる活動の効率を高めてくれるので、個人でも重宝します。
また、生産性向上に使える様々なツールがありますので、色々試し、自分に合ったものを使っていくとよいでしょう。