事業を進めるためには、製品やサービスを購入してくれる顧客が必要です。そしてその顧客は、何度も購入してブランドを信頼し評価してくれるロイヤルカスタマーが理想です。
そのため、事業を始める前には、ロイヤルカスタマーになってくれる理想的な顧客像(理想的な顧客プロファイル、ICP)をつくらなければなりません。
そして、理想的な顧客像に合致する、あるいは合致しそうな人や会社にアプローチすることが必要です。
つまりは、ビジネスにおいて、理想的な顧客像に合わせてターゲットを絞ったリードジェネレーションが非常に重要です。適切な人や会社に声をかけていなければ、顧客にするのは難しいのです。
「いや、しかし、どんな相手でも成約に持ち込むから問題ない」と考えているかもしれません。
自社に優秀な営業担当を抱えていたり、あるいは自分が有能な営業スキルを持っていると自負している場合には、十分注意が必要なことがあります。
理想的な顧客像から離れた人や会社を無理に顧客にすると、顧客にした後にトラブルに見舞われることが多くなります。解約、クレーム、サポートコストの増大、悪評の流布などです。
優れた企業は、営業担当の責任を契約後にも持たせることで、これを防いでいます。
結局のところ、事業をスムーズに進めていくためには、適切なリード、適切な見込み客、適切な顧客と付き合っていくことが必須となります。
さて、ターゲットとなるリードを生み出すためには、どのような手法があるでしょうか。マンネリ化した集客手法や新たなリード生成を試したい、フリーランスとして活動していて集客に苦労している場合などに有用な方法を、いくつかご紹介します。
リードとは何か?
方法を紹介する前に、マーケティング用語のひとつ「リード」について、簡単に説明しておきましょう。
リードとは、自社製品やサービスを購入してくれる可能性のある、ブランドに興味を示し、連絡先情報を共有してくれた潜在顧客です。
リードはまだ販売パイプラインに入ったばかりの潜在顧客で、マーケティング適格リード(MQL)、販売適格リード(SQL)、製品適格リード(PQL)などの段階の適格認定を行って絞り込み、見込み客(プロスペクト)を経てオポチュニティから顧客となります。
1. Facebookを試す
Facebookは個人のSNSとしても使えますが、Facebookページを使って、ブランドを構築し、宣伝するための企業ページも作ることができます。
ブランド理念に合う潜在顧客と交流するために、グループを作るなどして、彼らの興味をひく情報を投稿し、自社Webサイトへのアクセスを促します。
Facebook広告を使ってトラフィックと売上の向上が実現できるかを試してもよいでしょう。
2. Twitterで交流する
多くの企業が、カスタマーサービスの問い合わせにTwitterも利用しています。誰かがTwitterで自社への不満を述べていれば、その問題を解決するために返信することがあります。
顧客のアカウントを捕捉することで、発言内容をより深く理解することができ、顧客に合わせたメッセージを提供することもできます。
Twitterは、自社ブランドをアピールするだけではなく、新たなリードを開拓するために、潜在顧客との交流にも活用することができます。
Facebookと同様に、Twitterにも広告がありますので、リード獲得の可能性を試すのも一興です。
3. Instagramを活用する
Instagramは、Facebookを運営するメタ社のSNSで、Twitterと並び、比較的若い世代が多く利用するSNSです。Twitterと異なり、女性利用者が多く、利用者の6割以上を占めます。
理想的な顧客像が若い女性であれば、マーケティングにおいてInstagramは利用価値が高いと言えます。
Instagram広告もしくは投稿で、潜在顧客が関心を寄せる写真や動画を投稿して、Webサイトへのトラフィックを誘導することができます。
4. YouTube動画を配信する
動画は、リードを呼び込むと言うより、ブランドを拡大するための優れた方法で、Google社のYouTubeは、そのための最大のプラットフォームです。
Webエンジニアであれば、プログラミングの動画を発信していくことで、専門性をアピールすることができます。
動画はブログ記事とセットにして発信することで、専門記事の魅力を増し、複数のチャネルでの発信幅が広がり、潜在顧客にリーチしやすくなるでしょう。
5. ブログコンテンツを作成する
リードジェネレーション戦略としてその有効性が確認されているのが、ブログコンテンツの配信です。これはインバウンドマーケティングと呼ばれる方法論です。
ターゲットとする理想的な顧客像が好み、また、自身が問題を抱えていることを呼び起こし、問題から苦痛を感じさせ、あるいはすでに問題を抱えており、その問題から生じる苦痛を解消したいと考えており、その苦痛を解消するコンテンツを提供していきます。
ただし、適切な種類のコンテンツを提供するだけでは不十分で、バイヤーズジャーニーの「認識する」「検討する」「決定する」の各段階のタイミングで提供することも考慮しなければなりません。
6. SEO対策を実施する
会社や事業のWebサイトがあれば、よほどのことがない限り、会社・事業名で検索すれば、検索エンジン結果ページ(SERP)の1ページ目の一番上に、会社や事業のWebサイトが表示されます。
しかし、優良なリードは会社名で情報を探すことはありません。自身の問題を解決するための情報収集や、興味関心から、各種のキーワードで検索します。
それを知るためには理想的な顧客像やペルソナの作成が必須です。彼らの求めているブログなどコンテンツを彼らに知らせるために、検索エンジン最適化(SEO)を実施する必要があります。
SEOは、B2CにもB2Bのリード生成において重要な戦略で、無料のトラフィックのみならず、ターゲットを絞ったトラフィックを得ることができます。
7. インフルエンサーを活用する
インフルエンサーとは、金銭を受け取ってフォロワーに商品を勧めたり宣伝したりする、ソーシャルメディアの人気アカウントのことです。
自民党らのインフルエンサーを使った世論操作や差別扇動や誤情報の流布は批判され正されるべきですが、私たちは市民から預かった税金を使うわけではありませんので、問題はありません。
インフルエンサーを雇うことで、ブランド認知度を高め、新規リードを獲得しやすくなります。
8. 自動化アプリケーションを導入する
最近ではリードジェネレーションのための多くのツールが提供されています。リード獲得プロセスを自動化するアプリケーションは、より少ない時間でより多くのことを成し遂げるため、プロセスがより効果的になり、自動化できないあるいはすべきでない業務により多くの時間を割くことができるようになります。
マーケティングオートメーションの利点は、およそ以下のとおりです。
- メッセージのターゲティング強化
- カスタマーエクスペリエンスの向上
- リードの質の向上
- リードの増加
- マーケティングの効率化、ROIの向上
- コンバージョン率の向上
- マーケティングとセールスとの連携強化
- 費用対効果
- 様々なチャネルの統合
- Webトラフィックの増加
- 利益向上
- 販売サイクルの短縮
9. ライブチャットを導入する
応答に時間がかかるほど、潜在顧客と関係を結ぶのが難しくなってきます。
製品やサービスに興味を持っている潜在顧客がメールフォームなどで問い合わせをした後、しばらく経ってから営業担当から返答がありますが、潜在顧客がそれに返答する割合は時と共に失われていきます。
Google検索で検索、すなわちGoogle検索に質問すると、即座に答えが返ってきます。この即応性を期待する潜在顧客は、Webサイトの問い合わせフォームに抵抗を覚えます。
リアルタイムでの会話によって即座に問い合わせに応答し、すぐさま適格リードかそうでないかを判定するのに有効なのが、ライブチャットです。ライブチャットでの適格認定は、会話適格リード(CQL)となります。
10. 潜在顧客の習慣を知る
実際のところ、リードジェネレーションには万能のアプローチはありません。あるビジネスではうまくいっても、別のビジネスではうまくいかないこともあります。
新しい理想的な顧客を見つけるための最良の方法が、SEOキャンペーンであることもありますし、YouTubeで解説動画を発信したほうがよいこともあります。有料広告に投資したり、インフルエンサーに金を積むのがよいこともあります。
理想的な顧客像に合致する顧客候補がどのチャネルをよく利用しているのかを知るためには、顧客層を徹底的に研究する必要があります。いつ、どのチャネルを利用していて、どんなコンテンツを好み、どのような悩みを抱えているのかがわかれば、自ずと方針は決まります。
11. 紹介してもらう
すでにロイヤルカスタマーがいるのであれば、他の人や会社に推薦してもらいましょう。B2Bの取引の場合は、遠慮なく紹介をお願いするだけで問題ないはずです。B2Cの場合は、紹介してくれた人にお礼をする紹介プログラムを組むとスムーズです。
見ず知らずの会社からの売り込みより、知り合いからの紹介のほうが成約には圧倒的に有利で、良好な関係を結びやすく、良質なリードを得られる蓋然性が高くなります。
12. 以前の顧客に連絡をとる
以前一緒に仕事をした顧客、製品やサービスを購入してくれた顧客、成約直前まで行って契約できなかった人も含め、リストをチェックし、何か役に立てないかを調査します。
時間が経てば別の問題を抱えることになっているかもしれません。
13. 広告とLINEを活用する
有料広告でLINE友達登録のランディングページに誘導し、LINEでのドリップキャンペーン戦術を行う方法です。広告などペイドメディアを使う場合は、ターゲットの絞り込みが肝になります。
広告費もLINEメッセージ送信費も、ターゲットが増えれば増えるほど高額になり、必然的に製品やサービスの価格を上げなければなりません。高額な商品ならこの方法を採り入れるのは理にかなっていますが、そうでない場合は費用対効果(ROI)の面で、お勧めできません。
また、BrightEdgeによると、オーガニック検索でのWebサイトへのトラフィックは53%なのに対し、有料検索の場合は15%しかなく、同じ資金を投じるのであればSEOのほうが圧倒的に有利です。
14. 製品の無料版やフリートライアル
購入前に製品やサービスを試せない場合は、購入の障壁が高くそびえ立っている状態です。この場合、製品が高額になればなるほど、広告、マーケティング、セールスのコストが増えていきます。多額の費用を投じるよりは、できる限り少ない予算で大きな効果を上げたほうがよいに決まっています。
自動車を買おうと思い立った場合、試乗してみるとか、少なくともショールームに飾ってある車のドアを開けたり、ラゲッジを確認したり、車のまわりをぐるっとひと回りして細かな部分を見てみたり、運転席に乗り込んでハンドルを握ってみたりしたくなるでしょう。
実物を見せずに買ってもらおうとすると、実際の製品やサービスを見たり使ったりしたときに、期待と違う、つまりバリューギャップが生じやすくなります。購入前の「期待」は一人ひとり異なります。念入りに説明を尽くしても、頭や心で思うことや感じることは、一人ひとり違います。ライター、営業、マーケティングの意図通りには、人の心を操作できません。
それを回避するには、少なくとも製品やサービスの見本、デモ版、無料版(フリーミアム)、フリートライアルなどを用意して、購入前に実際に触ってもらい試してもらうことです。
さまざまな方法を試してみる
収益を上げるには、成約率を上げることや営業手法を学ぶよりも、リードジェネレーションを上手に使うことが重要なこともあります。どうやって説得するかよりも、どういう仕組みをつくるかのほうが上手くいくことがあります。
ここで挙げたようなさまざまな方法で、ビジネスに合っていて成果が出るかどうか試すのもひとつの手です。集客に苦労しているのは、実はその数ではなく質であると発見できるかもしれません。リードの質を上げれば販売転換率が高まり、リードの数を増やさずとも、収益は増加するのですから。