セールスプロセス

独自の販売プロセスを構築する方法

見ず知らずの人に接触して、セールスをかけて契約を成立させようとしたことがある人は、そのやり方があまりにも無茶で、徒労に終わることを知っているはずです。

営業の方法を知らないで営業活動をしてもうまく行くはずがありません。

Webデザイナーあるいはエンジニアでありながら、WordPressの使い方を知らないでWordPressカスタマイズの仕事をしようとしているのと同じです。

一人で事業を行っているフリーランス・個人事業主、あるいは法人でも一人社長は、営業を専業としているなら別ですが、例えば先に挙げたWebデザイナーやエンジニアのような技術職の場合、専門スキル以外にも営業の方法を知らなければ事業を続けられません。

販売プロセス、つまり販売におけるそれぞれの行為は、B2BでもB2Cでも、自分や自分のブランドへの信頼と、製品やサービスへの興味を築くことを目的としています。

潜在顧客を顧客に近づけ、成約に至らしめるには、計画的に行動しなければなりません。

販売プロセスとは何か?

販売プロセスとは、製品やサービスに興味を持った相手に購入してもらうまでの、営業担当者が行うそれぞれの行為と一連の行為です。

販売相手はそれぞれ異なりますが、共通した特徴を持っていますので、販売に近づけるための段階に応じた工程を用意しておきます。

販売サイクルとは何か?

販売サイクルとは、リード生成から販売完了までの、製品販売に関わる一連の手順(販売プロセスの集合)です。

企業によって取りうる形態は様々ですが、一般的な販売サイクルは、リードから始まり、契約を締結して終了します。企業は販売サイクルを把握することで、業務の効率化を図ることができます。

販売プロセスの7ステップ

販売プロセスにいくつのステップがあるかは各社毎に異なりますが、ここでは、代表的な7つのステップについて説明します。

1. リード生成

最初のステップでは、リードをつくり出します

この段階が最も重要なステップと言えます。というのも、適切に潜在顧客を選定しなければ、この先のステップで、購入する可能性の低い、あるいは購入しても解約やクレームになる可能性の高い相手に、貴重な時間や資金を浪費し、事業を毀損の危機に晒すことにもなりうるからです。

2. 調査

リードを作り出した後は、リードのリサーチを行います。連絡先情報、会社の誰に連絡を取るべきか、解決しようとする問題は何か、話題作りのためのリードとの共通点など、次のステップに繋がる最低限の調査です。

3. アプローチ

事前に調査をしておくと、リードの仕事や興味を持っていることについて世間話をしたり、自社のことを少し説明しながら興味を持ってもらえるように質問したりすることができます。

最初の連絡は、電話に限らず、電子メール、ソーシャルメディアなど、様々なチャネルがあります。

忘れてはならないのは、この時点ではまだ売り込みをしないということです。

4. プレゼンテーション

プレゼンの約束を取り付けることができれば、リード適格の条件をひとつクリアすることになります。予算はあるか、決定権はあるか、必要性はあるか、購入準備ができているかのBANTフレームワークなどを適切に活用し、リード適格認定を進めていきます。

この段階では、リードが抱えている問題と、それを解決するための製品やサービスについて、リードに説明します。

5. 反対意見への対応

大抵の場合、「予算がない」「今は必要としていない」など、反対意見に直面します。

調査とプレゼンテーション作成で、あらかじめ想定される反対意見への対処を考えておきます。例えば、導入が遅れた場合、遅れた期間分利益が得られないと数字を使って示すなどです。

6. クロージング

クロージングにおいて、有能な営業担当者と平凡な営業担当者とがはっきりと分かれます。あらかじめ書類や製品導入の準備をしておき、簡単に契約を進められるようにしておきます。

7. フォローアップ

理想的な顧客像から外れていなければ、購入してくれた相手はよい顧客となるはずです。

しかし、「買わせたら勝ち」との考えで進めて購入後のフォローを怠っていると、顧客の気持ちも冷め、追加の購入も期待できず、解約されることもあります。

顧客が製品の価値を受け取っていることを確認するために、適宜連絡を取り、よくない状況であれば、状況を解決するために何ができるかを考え、対処します。

独自の販売プロセスを作成する方法

販売プロセスのステップを一通り押さえたところで、次は、独自の販売プロセスを作成するためのいくつかのヒントを記載します。

顧客プロファイルをつくる

適切なプロスペクティング(リードを見込み客にすること)を行うためには、リード生成の前に、顧客となるべきターゲットに関するすべての要素を網羅した、顧客プロファイルを作成する必要があります。

製品やサービスを喜んで買ってもらうためには、顧客がどのような人・会社で、何を大切にしているかを理解する必要があります。

顧客の問題だけに注目して、その問題を解決しようとするだけに留まりがちですが、問題点を理解するだけでは、全体像を把握することができません。潜在顧客や既存顧客について、知っているのが解決すべき問題だけであれば、その問題が発生する背景を見逃していることになります。

例えば、あなたが靴を買おうとして靴屋に行ったとします。すると店員が近づいてきて、「どういったものがお好みですか」と尋ねてきます。あなたは彼に、新しい靴が欲しいと伝えます。店員は、予算や好みに応じて何足か勧めます。しかし、その店員は、他にどんな靴を履いているのか、普段どんな服装をしているのか、いつどのような状況でその靴を履くのかなどについては聞いてきません。

顧客プロファイルをつくるには

顧客がどのような状況で活動しているかを理解しなければなりません。顧客の組織がどのように運営されているか、典型的な一日はどのようなものか、解決したい問題についてどのように感じているのか、どのようなイベントに参加しているのか、どんな本を読んでいるのか、どのような製品やサービスを使っていて気に入っているのかを知らなければなりません。

顧客との共感を得ることで、顧客にフォーカスした効果的なマーケティング戦略販売戦略を立てることができます。

たいていは人口統計(デモグラフィック)や心理統計(サイコグラフィック)からペルソナを作ろうとします。

そうするよりも、問題を抱えていて苦痛を感じている可能性のあるターゲット顧客よりも大きなターゲット層から始めたほうが、つくりやすいはずです。

最低100万円のWebサイトリニューアルが製品・サービスなのであれば、例えば、年間経常利益(ARR)が1億円以上の企業を潜在顧客とし、200万円の個人事業主を外すことになります。潜在顧客は、製品を買えるだけの予算があることが条件だからです。

そうして理想的な顧客像(ICP)を構築します。理想的な顧客像とは、自社が解決可能な問題を抱えており、製品やサービスを購入する準備ができており、喜んで購入する潜在顧客プロファイルです。

理想的な顧客像という形でターゲットの概要を把握することによって、顧客の信念や価値観など、サイコグラフィック特性やパーソナリティを掘り下げて、ペルソナをつくることができます。

スケジュールを立てる

フォローアップや提案書の提出など、販売パイプラインに含まれる個々のプロセスについて、予めスケジュールを立てておきます。

最初のコンタクトからどのくらいでミーティングを設定しようとしているか、プレゼンテーションまで何日か、プレゼンテーション後、どのくらいでクロージングしているのかなど、現在のプロセスを確認します。

販売プロセスをつくっていないのでしたら、作成して期間をスケジューリングします。

あるステップで時間がかかりすぎていたり、逆に急ぎすぎていたり、傾向を把握し、変更してみてコンバージョン率にどのような影響があるかを試してみます。

売り込み(セールスピッチ)を整理する

あらゆる場合におけるシナリオをつくっておきます。ファーストコンタクトで何を話すか、プレゼンで何を質問するか、質問されたらどう答えるか、親密になるためにどう話すか、想定される、あるいは過去の様々な場面でのプレゼンテーションやエレベーターピッチなどを、すべて文書化しておきます。

例えば最初のミーティングで、以下のような質問をするなどです。

  • 現状を教えてくださいますか?
  • どのようなビジネス上の問題を解決したいとお考えですか?
  • 問題を解決した後、どのようになることを期待していますか?

送信する電子メールもすべて文書化しておき、話すことは実際声に出して練習しておくことです。

反対意見のリストをつくる

リードや見込み客が何らかの理由で異議を唱えたとき、すぐに答えられるように準備しておきます。

反対意見はすべて記録しておき、どのような反論が多いのか、どのような応答をすると効果的なのかもすべて検証し、記録し、応用できるようにします。

よくあるパターンは、以下のようなものです。

  • 価格に問題がある。提供される価値に比べて高すぎる。そこまでの予算がない。他の製品に比べて高い。
  • 話をする時間がない。もう少し考える時間が欲しい。忙しくて検討できない。来年くらいには必要になるかもしれない。後で連絡する。詳しくはメールで送ってくれ。
  • 競合製品のほうがよい。今使っているサービスを気に入っている。
  • 信頼できない。あなたの会社のことを聞いたことがない。実績がない。会社の規模が小さい。
  • 変えたくない。現状に満足している。変更するには社内で面倒な手続きが必要。
  • 決済できない。上司に相談しなければならない。社内で稟議が必要。
  • 必要ない。あなたの解決策は不要。現在の取引先が解決してくれる。優先事項としては低い。

クロージング技術を磨く

見込み客はクロージングの前にほとんど決断していますが、決断を妨げるような問題が起きたときのために、様々なクロージングのテクニックを身につけておけば、すぐに対応することができます。

ピッチや反対意見と同様に、様々な言葉を試し、どのようなクロージング手法が最も効果的か、確認します。合わせて、改良したり新しい手法を試したり、常に改善を心がけます。

販売方法論について

販売方法論(あるいは営業方法論)とは、販売プロセスの各ステップにおいて、どのようにターゲットにアプローチするかの方法をまとめたもので、様々なフレームワーク、モデルがあります。

このうち数十万円程度の小規模なビジネスに対応できるものは、セルフサービス、トランザクション販売、ソリューション販売を基本として他のモデルを組み合わせて使い、販売サイクルが長期に渡る1,000万円以上の中規模なビジネスの販売には、コンサルティング販売などの方法を選ぶのが通常です。

販売プロセスは必須です

手探りで営業をしているのであれば、今すぐ止めなければなりません。販売プロセスを構築し、ある意味機械的に営業活動を行わなければ、フリーランスに限らず事業を続けることはできません。

Webサイトの構築に手順が必要なように、顧客をつくり上げるのにも手順が必要です。

リードの数を増やし、見込み客を増やし、成約率を上げていくためには、販売プロセスを理解し、事業に合わせて独自のプロセスを実装しなければなりません。

芦屋 十貴夫

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あしやときおと申します。Webプログラミング、Webデザイン、マーケティングを生業としています。