販売パイプラインでセールスを成功させる

フリーランスのWebデザイナーは、どのように仕事を獲得して、どのように顧客管理をしているのでしょうか?売上やコンバージョン率を計画して行動しているでしょうか?なかなか収入が増えない、あるいは安定しないのは、基本的な数字を把握せずに、行き当りばったりで仕事をしているからかもしれません。

例えば、案件を発注してくれそうな見込み客に20件アプローチして、5件からは返答が得られず、5件は時間を割いてくれず、8件は話を聞いてくれたけれども発注できない理由をいろいろ言ってきたとします。

しかし、20件アプローチしたうちの2件の案件発注を得られたので、成約率は2/20、つまり10%となります。

成約率は、アプローチの数が多ければ多いほど、正確になります。今回の20件はたまたま10%でしたが、2000件声をかけて、50件契約できた場合、成約率は2.5%となります。

2.5%のほうが正確な数値ですので、あるタイミングで20件アプローチしたところ、成約がゼロ、成約率0%となってしまった、ということもあり得ます。

この数値を見極めることが、販売を成功させる秘訣のひとつとなります。

販売パイプラインとは?

販売パイプラインとは、販売サイクルの間の電話、電子メール、ミーティングなどでの営業活動を時系列でマッピングしたもので、取引すべてを追跡するために活用するものです。

セールスパイプライン
販売パイプラインの例

営業活動をしていると、商談を成立させるために、様々な活動が必要なことがわかります。先に例として出したフリーランスのWebデザイナーであれば、例えば以下のようになるでしょう。

  • ミーティングをスケジューリングする初回電話
  • 抱えている問題や要望を探るための2回のミーティング
  • 提案書を2通送付
  • 契約交渉の電話
  • これらの過程で10通のメール

それぞれの商談ごとに、ミーティングが1回だったり、メールが5通だったり、電話での交渉がなかったり、様々な場合があります。

いずれにしろ、各段階の交渉は、販売パイプラインのいずれかの位置に配置できます。

そのため、リードがどういう割合で成約に至っているかなどを算出できますので、将来の売上見込を見通せますし、成約率を向上させる対策も立てることができます。

セールスファネルと販売パイプラインとの違い

セールスファネル(販売ファネル)は、リードジェネレーションファネルとも言い、リードに焦点をあて、一方、販売パイプラインは取引に焦点をあてたものです。

セールスファネルとセールスパイプライン
セールスファネルと販売パイプラインの一例

セールスファネルは、その名のとおり、漏斗(ファネル)の形態をしていて、下に進むほど狭くなり、最終的なコンバージョン率を視覚的に表しています。

販売パイプラインは、販売プロセス中に発生する販売担当者の行動を表しています。

販売パイプラインのメリット

販売パイプラインは、どうすれば収入を増やすことができるか、どうすれば安定した収入を得られるかなど、事業を進展させ安定させるための助けになります。

販売プロセスを整理できる

営業担当にとって、フリーランスのWebデザイナーであればなおさら、本業にも多くの時間を費やさなければなりませんので、リードや見込み客の整理整頓は必須となります。

一度に多くのリードや見込み客に対応しなければならず、なおかつ、それぞれ異なる販売パイプラインの段階にあり、別々の対応をする必要があります。

整理整頓ができていないと、準備ができていないリードをクローズしようとしたり、過剰に打ち合わせを行って見込み客を逃したり、次々に契約を失ってしまいます。

販売への理解が深まる

販売パイプラインは、事業の販売状況を可視化し、販売プロセスの理解を深めるのに役立ちます。

例えば、いつまでも同じ段階に留まっているリードを発見したり、どの程度の時間でクローズまで達するかを確認できるので、戦術を修正していくことができます。

クロージングの効率が上がる

見込み客と何度連絡をとり、どのような会話をしたかを把握することで、クロージングの時期かどうか、どのような構成でクロージングを行うべきかを、より明確に把握することができます。

例えば、見込み客が次の四半期に新しいソリューションを導入したいと言っていれば、提案やフォローアップで、それについて効果的に強調し、最後のひと押しができるでしょう。

独自の販売パイプラインを作成する5ステップ

販売パイプラインは、営業をしていく上で、すなわち、事業を営んでいく上で、絶対に必要なものです。

「営業活動」というと、お客さんの会社や自宅を訪問して交渉するといったイメージがある人も多いでしょうが、オンラインで完結する営業手法もありますし、いわゆる「営業マン」が介在せずに自動化している場合もあります。

いずれにしろ、販売パイプラインがないと、営業活動の管理ができませんので、事業がスムーズに進みません。

1. パイプラインの構造を把握する

顧客の典型的な購買プロセスはおよそ以下のようになります。

  1. 問題を認識する
  2. 情報を検索する
  3. 選択を評価する
  4. 購入を決定する
  5. 購入する
  6. 評価する

購買プロセスを念頭に置いて販売パイプラインの構造を決めていくと、顧客との間の食い違いが生じにくくなります。業種や企業、製品・サービスによって違いはありますが、例えば以下のようになるでしょう。

  1. 未連絡の潜在顧客
  2. 初回連絡済み見込み客
  3. ミーティング済み見込み客
  4. 提案済み見込み客
  5. 顧客

顧客それぞれを上のようにカテゴリー分けし、いつ連絡をとったか、いつ次の段階に進むべきかを明確にしておく必要があります。

セールスパイプラインと顧客の購買プロセス
販売パイプラインと購買プロセスの例

2. 今までの取引から現状を把握する

これまでの取引や、進行中の取引をまとめ、成約率を導き出します。

例えば、異なる見込み客に100回アプローチし、5件の成約を獲得していた場合、成約率は5/100つまり5%となります。この成約率を維持するためには、何件のアプローチ、ミーティング、メールが必要かを計算します。この例の場合ですと、1件の販売を行うためには、20件のアプローチが必要となります。

同時に、1件の成約にかかる平均時間を算出します。そうすれば、毎月の営業活動を計画でき、売上も計算できます。

3. 達成すべき数字を決める

1件あたりの契約金額が50万円、成約率が5%、目標を月500万円とした場合、10件の契約が必要ですから、パイプラインには200件の見込み客が入っていなければなりません。

月50万円の契約で十分であれば、パイプラインには20件のリードや見込み客で十分となり、目標を決めてしまえば、あとは成約率に基づいて行動するだけです。

コンバージョン率
セールスファネルにおける成約率の例

前者の場合、200件のうち190件は断られますから、190回連続で断られて精神的に参るかもしれません。しかし、毎日パイプラインの各段階をこなしていくだけなので、いちいち結果に縛られていては、次の行動に支障をきたします。

4. 各段階の行動チェックリストをつくる

販売パイプラインの各段階には、次の段階に移る前に達成すべき目標を設定する必要があります。

マーケティング段階の、リード獲得、MQLの次には、

  1. ファーストコンタクトをとる(電話、メールなど)
  2. ミーティングの約束をする
  3. ミーティングを実施する
  4. 提案書を提出する
  5. 契約手続きをする

例えば以上のように設定し、各件の行動チェックリストとスケジュールを用意し、進捗状況を把握します。

5. 販売パイプラインを埋め始める

計画が終われば実行するだけです。試行錯誤をして経験を積み重ね、計画の微調整をしながら進めていきます。

相手の行動はどうすることもできません。自分ではどうにもならないことは考えず、自分でコントロールできることにだけ集中します。パイプラインには次の見込み客がいるので、計画通りに動くのみです。

販売パイプラインにCRMを使う

CRMソフトウェアは、リード管理に有効ですし、自分でゼロからパイプラインをつくる必要がありません。

もちろん、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを使って管理することも可能です。

事業全体の流れを見通すまで、安価・無料なソフトウェアでトライアンドエラーすることも、経験を得る上で有効でしょう。

今すぐ販売パイプラインの見直しを始める

様々なプロファイルの顧客をやみくもにパイプラインに詰め込んでも、成約率が下がるだけでリソースの無駄です。利用的な顧客像に当てはまるリードのみをパイプラインに入れます。

そして、成約まであまりに時間がかかり、購入の見込みのない無価値なリードは思い切って捨て(完全に排除はせず、将来のパイプラインに入れておきます)、成約の可能性が高い案件に集中します。

定期的にすべてのコンタクトに目を通し、パイプラインを常に綺麗に保つよう気を遣います。

集中すべきは何か、習慣とすべきは何か、継続すべきは何かを常に考慮しつつ、販売パイプラインを活用していきます。

芦屋 十貴夫

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あしやときおと申します。Webプログラミング、Webデザイン、マーケティングを生業としています。