販売サイクルの中で、リードジェネレーション(リード生成/集客)ほど重要なものはありません。リードを生み出す方法を知らないと、事業を成功させることはできません。

安定したリードの流れがなければ見込み客を得ることもできませんし、見込み客がいなければ製品やサービスを売ることもできません。

しかし、リードを生み出すのは難しく、どんなに優れた企業でも苦労することがあります。状況を好転させるために何ができるか頭を悩ませている方のために、ここでは、リードの管理方法を改善し、結果的に売上を伸ばすことができる方法をいくつかご紹介します。

リードとは?

リードとは、自社の顧客になる可能性のある理想的な顧客像(ICP)に似通った潜在顧客のことです。

理想的な顧客像とあまり当てはまらない潜在顧客は、見込み客になる可能性が少なく、顧客になる可能性もほとんどありませんので、やみくもに人を集めればよいというわけではありません。

企業や営業担当者は、広告の掲載、ネットワークの構築、電子メール、ダイレクトメール、コールドコール、コンテンツなどのマーケティング戦略を駆使して、リードを探します。

該当するリードは販売パイプラインに登録され、見込み客として相応しいかどうかの適格性を判定した後、営業担当者が製品を売り込み、最終的に契約を勝ち取ろうとします。

マーケティング的手法では、リードの行動から自動あるいは手動でのリードスコアリングを行って、リードの質を高めます。

営業的手法では、リードが製品やサービスに興味を持っているかどうか、購入する能力があるかどうかを判断するための質問をすることで、リードの質を高めていきます。

リードと見込み客との違いは?

セールスの世界では、リードと見込み客(プロスペクト)が同じ意味で、あるいは混同されて使われることがよくありますが、これらは同じではありません。

リードとは、顧客になる可能性があるけれども、その可能性が高いか低いかを判断するための適格審査を行っていない潜在顧客のことです。

見込み客とは、販売を試みるのに適した候補者であると吟味されたリードのことです。マーケティング適格リード(MQL)、販売適格リード(SQL)、製品適格リード(PQL)などの適格リードを通過すれば見込み客となります。

フリーランスや中小企業向きの、リードを生み出す手法

リードの獲得に苦労している企業は少なくありません。どうすれば新しい方法でリードを生み出すことができるのかとお考えなら、いくつかの試行錯誤された方法があります。

1. ネットワーキング

新型コロナの影響でこの方法は下火になりましたが、日本では営業時間外に酒を飲みながら仕事の話をするのが一般的です。相手が「おじさん」(年齢に関係なく)の場合は特にそうです。

他には異業種交流会などのイベントで、お互い顔の見える状況ですと、親しみを感じやすくなり、信頼関係を築きやすくなります。

名刺交換した相手はリードとなり、直接話している分、ミーティングの機会を設けやすいのが利点です。

ネットワークを活用する方法

仕事での人付き合いは、正直、億劫に思う人も多いでしょう。準備せずにイベントなどに挑むのは実りがありませんし、話すのが苦手な人は、他の方法へ持ち込むことを考えて、リード生成に徹します。

自分のことばかり話さない
イベントに参加する人は、どちらかというと自分や自分の商品ばかり話す傾向にありますので、聞き手に徹したほうがよいこともあります。相手を尊重し、理解しようとしていることを示します。
セールスをしない
ネットワーキングの目的は、相手の人間性やニーズを理解することであり、製品の売り込みではありません。リード生成に徹すべきです。
フォローアップする
出会った人はリードですので、他のリードと同様に販売パイプラインに投入し、フォローアップを行っていきます。

2. ソーシャルメディア

多くの企業は、企業内の個人を含め、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを活用しています。

フリーランスの技術者は、勢い業界内でしか通じない技術のことや、集客にまったく役立たない「今日の昼飯」を投稿しがちです。

高度な技術や見識をアピールするのは業界内でのブランドづくりに役立つこともありますが、顧客は同業者ではないはず(下請けは別)です。

リードを集めるために使うのであれば、潜在顧客にとって価値ある情報を発信し、リードとのつながりを得ていかなければなりません。

ソーシャルメディアを活用する方法

SNSを有益に活用するには、潜在顧客と会話をすることが大切です。ここではそれを効果的に行うための方法をいくつかご紹介します。

強力なプロフィールの作成
リードにアプローチする前に、プロフィールをプロフェッショナルに仕上げます。相手がどんな人か知ろうとしてまず見るのはプロフィールですから、信頼性を得られるように念入りにつくり込みます。
役に立つこと
セールスを成立させるには、最終的には人として信頼されなければなりません。その足がかりとして、質問に的確に答えたり、相手の役に立つことをするのが一番です。

3. 広告

リードを得るのに最も簡単な方法は、広告に資金を注ぎ込むことです。

ただし、質の悪いリードを得るために多額の費用を投じることにもなりかねませんので、注意が必要です。というのも、質の悪いリードは、見込み客や顧客にするまでに多くの時間と手間を費やし、事業リソースを圧迫していくからです。

広告を活用する方法

広告は、リードを集めるだけではなく、企業、製品・サービス、ブランドの認知度やイメージ向上のためのブランディングに活用する場合もあります。ここでは、リードを集めるためのポイントをいくつかご紹介します。

顧客を知る
ターゲット顧客を誰にするかわからなければ、広告の出しようがありません(広告に限らず、リードを集めるために重要です)。製品やサービスが解消できる問題を抱えていて、購入可能な企業規模などデモグラフィックに当てはまり、信念や価値観などのサイコグラフィック属性がブランド・企業理念と合致している顧客プロファイルを作成しなければなりません。作成したペルソナが利用する媒体やコンテンツに合わせて広告キャンペーンを始めます。
数種類の広告キャンペーンを実施する
最初から予算を一箇所に集中させるのではなく、少しずつ異なる広告キャンペーンを同時に実施し、指標を追跡します。そうすればどのメッセージがどのチャネルで最も効果があるのかがわかり、広告配信の効率を上げることができます。コンバージョン率に注目するのは当然ですが、最も重要なのは、ロイヤルカスタマーをつくることであり、顧客生涯価値(CLV)を最重要の指標とすべきです。

4. コンテンツとランディングページ

コンテンツマーケティングは、ブランドの発信にもリード獲得にも、極めて重要なマーケティング戦略です。潜在顧客が興味を持つような質の高いコンテンツ作成に時間をかけ、同時に検索エンジン最適化(SEO)戦略を行い、広告だけに頼らずリードを集めていきます。

ランディングページはPPCなどの広告とセットで使われることの多い、主に製品やサービスを宣伝・販売するためのWebページ広告ですが、トラフィックの集中するWebページもまたランディングページとなり得ます。

コンテンツとランディングページを活用する方法

優れたWebサイトを作るためには、潜在的な顧客にとって有益な情報を提供し、検索エンジンで見つけてもらわなければなりません。

ランディングページはシンプルに
ランディングページでは、大量の情報は不要で、行動を促すCTA(コールトゥアクション)を配置します。リードナーチャリングを意図して、有益な情報はむしろブログなどのコンテンツで配信していくのが効果的です。
SEO対策を怠らない
Googleキーワードプランナーなどを活用し、潜在顧客のよく使うフレーズをターゲットにコンテンツを作成します。ただし、SEOばかりに拘泥すると、質の低いリードばかりを集める結果になりますので、「短期間で勝ち逃げしようとする」ビジネスを行うなら別ですが、長期に渡って事業を続けていくのであれば、独自見解を重視して、末永く生き長らえるエバーグリーンコンテンツをつくるべきでしょう。
コンテンツの再利用
コンテンツはWebページだけに限りません。電子書籍や動画、ウェビナーなどのコンテンツとして再利用できます。

5. ライブチャット

マッキンゼーの調査によると、リードへの返答が早ければ早いほどリードを獲得できます。そのために最適のチャネルが、ライブチャットです。Webサイトにチャットを追加できる様々なソフトウェアがあり、チャットを通じて、Webサイトの訪問者は、すぐに質問を送信することができます。

ライブチャットを活用する方法

ライブチャットは、正しく行えばリード獲得に非常に効果的です。ここでは、そのための方法をいくつか紹介します。

ランディングページに置いておく
Webサイトのすべてのページにライブチャットを配置するのは、訪問者にとっては煩わしく感じ、やりすぎかもしれません。ランディングページのみに止めておくのが有効です。ただし、様々なコンテンツ、例えばあらゆるブログ記事ページがランディングページとなっているのであれば、これらに設置しておくのも問題ないでしょう。
チャットでのやり取りの記録と分析
事業において、あらゆるデータを分析して成功につなげるのは基本です。チャットも例外ではなく、どのリードが購入し、解約せず、長期的な顧客になっているか、そしてその逆の失敗例と比較することは、より良く実践するための有効な手がかりになります。
リードの質を高める
会話の最中に、顧客の適格性を確認することも可能です。BANTのような手法も使うことができます。チャットの中でリードスコアリングを行えば、リード適格審査プロセスを短縮でき、結果として販売プロセスを効率化できます。
チャットボットの活用
ライブチャットを活用すると言っても、人材リソースがない場合は、24時間365日の対応は困難です。自動的にチャットを進められるチャットボットを導入し、リードジェネレーションやリードナーチャリングプロセスを効率的に行うことも可能ですし、セルフサービスにも有効です。

6. 紹介

いくつかの理由から、紹介は、リードとしては最高のものです。

ひとつは、紹介してくれた人がすでにあなたにとって適格リード(見込み客)であることです。「誰それに紹介していただきまして、このたびご連絡差し上げました」と自己紹介すれば、すぐに打ち解けることができます。

もう一点は、他のチャネルでのリード獲得よりも、時間的にも金銭的にも低いコストで済むことです。新規顧客開拓の場合、理想的な顧客像・ペルソナに当てはまるかどうかの選定、購入意思や予算があるかどうかのリード適格審査に、時間も予算もかかるからです。

紹介を活用する方法

紹介プログラムを導入していない場合、多くの質の高いリードを逃していることになります。以下は、紹介プログラムを立ち上げ、成功させるためのいくつかの方法です。

電子メールマーケティングの活用
紹介プログラムを開始するには、顧客に一括して電子メールマーケティングキャンペーンを行い、紹介プログラムと、獲得できるインセンティブを宣伝するのが効果的です(顧客の主要チャネルがLINEの場合はLINEで行うなど、適宜読み替えてください)。
紹介された人にも報酬を与える
紹介してくれた人に何らかの特典を提供するのは当然ですが、紹介された人にも、期間限定の割引やクーポンなど、何らかのインセンティブを提供するのがよいでしょう。
プログラムの成功を追跡する
プログラムから得られたリードのコンバージョン率など、主要な販売指標を常にモニターし、調整が必要かどうかを判断する必要があります。

顧客生涯価値について

顧客生涯価値(Customer Lifetime Value, CLV)とは、顧客との将来の関係性における利益予測です。企業と顧客との、損益分岐点に達してから関係が終了するまでの間に、顧客から得られる収益のことです。

製品やサービスを、他社は真似できますが、顧客生涯価値を突き詰めた企業が持つカスタマーロイヤリティを、他社は容易に真似できませんので、企業にとって大変に重要な要素・資産となります。

そのため、顧客生涯価値は事業を進めていくための指標として大切で、この指標を意図してリードを集めることも大切です。不要なリードは思い切って捨て、販売パイプラインをクリーンに保ち、見込み客に時間を費やすことで、事業を軌道に乗せ、成功に導いていきます。

あらい としゆき

あらい としゆき

ソフトウェアエンジニア(フルスタック、主にWeb系)。HTML, CSS, JavaScript, TypeScript, PHP, Python, Go, Vue.js, Express, Node.js, Nuxt, Next.js, Laravelなど。C#, ActionScriptも。デザイン、デジタルマーケティング。