あらゆるビジネスにはマーケティング戦略が必要です。大企業、中小企業、零細企業はもとより、個人事業主、フリーランスもまた、例えばWebサイトのデザインを請け負う小規模な仕事をしていても、顧客に会社や自分の商品やサービスを知らせ、また、既存クライアントに追加の購入機会を知ってもらうマーケティング戦略を活用していなければ、事業を継続していくことが難しくなります。
マーケティング戦略の基礎となるのが、以下に挙げる4つの原則です。これらの原則を理解することが、ビジネス戦略を構築する鍵のひとつとなります。
4つの原則はこちらで、頭文字を組み合わせて「4P」と称されます。
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- 販促(Promotion)
マーケティングの4原則とは何か
マーケティングの4つの原則は、「4P」や「マーケティングミックス」と呼ばれ、マーケティングの基本戦略を支えるフレームワークとなっています。
マーケティングミックスの概念が1950年代のアメリカで導入され、1960年代になると、4Pフレームワークとして使われるようになりました。4つのPを様々な方法でミックスすることで、それぞれがそれぞれを補完し合い、相乗効果を生み出し、製品やサービスの販売を促進することができます。
1990年代になると、4Pが売り手側の視点に偏っているとの批判から、買い手側の視点に基づいた4Cが提唱されましたが、実際のところ、4Pは売り手と買い手双方の視点に基づいたフレームワークとなっています。従って、顧客抜きの4Pはあり得ません。
マーケティング4原則の詳細
1. 製品(Product)
マーケティングの4原則、4つのP、4Pは、製品やサービスから始まり、その利点と機能に焦点をあて、例えば以下のような点を検討します。
- 誰がどのような理由からその製品やサービスを望んでいるのか。そしてそれは、顧客のどのような要望を満たし、どのような問題を解決するのを助けるか
- 製品やサービスの機能のうち、どれが顧客の要望を満たすか
- 顧客にとって製品やサービスの競争上の優位点は何か、そもそも優位点があるのか
製品やサービスそのものも大事ですが、顧客を理解していないと検討できる内容ではありません。
顧客を理解する方法
- プロダクトブランディング
- プロダクトブランディングによって、製品やサービスを差別化し、目立たせることができます。製品やサービスをブランディングすることによって、顧客にどのように認識してもらいたいかを決めていきます。
- バイヤーペルソナの作成
- 既存顧客のデータや市場調査に基づき、理想的な架空の顧客像を作成します。詳細であればあるほど、製品やサービスの利点と顧客の要望とを一致させることができます。そして、ターゲットオーディエンスを絞り込めることで、コンバージョン率を上昇させるとともに、顧客ロイヤルティを高め、チャーンを防ぎ、収益を伸ばせます。
- 製品ライフサイクルの確認と対応
- ステージ1から4のうち、どこに製品やサービスが位置しているか、確認する必要があります。ステージ1「導入」、2「成長」、3「成熟」、4「衰退」のどこにありますか?どのステージにいるかによって、顧客から見た商品像が変わりますので、対策も変わってきます。
2. 価格(Price)
マーケティング原則の2つ目は、商品やサービスの価格となり、以下の点などを検討します。
- 顧客にとって製品やサービスの価値は何か
- 需要と供給から市場価格は定まっているか
- 顧客は価格に敏感に反応し、価格を下げると市場シェアを増やせるか。または、顧客は価格に鈍感で、価格を上げても収益が増加するか
- 顧客は割引を望んでいるか
- 顧客は競合製品・サービスとどのように価格比較をするか
顧客の視点から、顧客がこれを手に入れるまでの時間や労力を含めて、製品やサービスの価値を見定めることが必要です。
顧客に価格設定を合わせる方法
- 価格調査
- 市場価格、顧客が製品やサービスをどのように捉えているか、競合の価格状況を調査します。営業担当の販売経験から顧客の反応を把握することも役立ちます。
- ビジネス目標
- 一方で、顧客の求めに応じすぎて価格を下げすぎてもビジネスが成り立ちません。顧客とビジネスとの関係で、うまくバランスを取った価格設定にする必要もありますし、顧客の拡大戦略を取るのであれば、無料オファーや体験価格を考える必要も出てきます。
- テスト
- 最初から適正な値付けをするのは難しいこともありますので、顧客の要望に応じつつ、収益が確保できる価格を見つけるまで、テスト・分析・評価を繰り返していきます。
3. 流通(Place)
流通(Place)は、顧客がどこでどのように製品やサービスを受け取れるかなどを示すものです。
- 顧客はどこで商品やサービスを探すか
- 顧客はどこで商品やサービスを入手できるか。スーパーマーケット、オンライン、カタログなど、どこで入手できるか
- 顧客はどうすれば商品やサービスを販売している場所にアクセスできるか
- 顧客は競合との違いをどう見なしているか
顧客に場所を提供する方法
- Webサイト
- 商品やサービスのWebサイトは必須です。ただ、Webサイトがない場合にも、Facebookページなどを代わりに使うことができますし、そうしている企業も多くあります。
- モバイル対応
- 現在はモバイル(スマートフォン、スマホ)ユーザーが多数を占めますので、Webサイトのモバイル対応をしなければなりません。また、モバイルアプリの導入も顧客にとって使いやすく有効です。
4. 販促(Promotion)
最後の販促においては、あらゆるマーケティングチャネルを通して、顧客とコミュニケーションをとる戦術となります。
- いつどこでマーケティングメッセージを顧客に届けられるか
- どのように顧客にリーチするか。オンライン広告、ダイレクトマーケティング、広報、電子メールマーケティング、ソーシャルメディア、マスコミ、テレビ、ラジオ、看板、見本市など、どのような戦術をとるか
- 宣伝に最適な時期はいつか
- 競合はどのようにプロモーションしていて、それは自社商品やサービスにどのように影響するか
プロモーションの作成方法
- ポジショニング
- 製品やサービスのポジショニング戦略、ポジショニングステートメントが必要です。これは、顧客を惑わせることのないように、すべてのチャネルで共通とし、首尾一貫していなければなりません。
- 計測と測定
- キャンペーン戦術を実行する前に、顧客に受け入れられるだろう数値目標を設定し、それを実行する際には計測し、随時分析して、目標に到達しているかを確認し、改善していかなければなりません。
現在のマーケティング原則
4Pは現在でも有効ですが、7Pや、4P+4Cなど、マーケティングの原則を定義する他のフレームワークも登場し、使われています。
原則を増やすと複雑化し煩雑になる嫌いもあり、4Pが有効なのであればシンプルに4Pで分類しておいて、ビジネスに合うように適宜調整していけばよいと思います。ここで述べたように、顧客目線での考察によって、4Pも現在の市場に十分対応できるでしょう。
顧客の要望に応じ、顧客を幸せにすれば、必然、ビジネスも成功していきます。
ただし、何でもかんでも顧客の求めに応じてビジネスを修正していけばよいというわけではなく、ターゲットオーディエンスの設定を誤っていたり、ブランドメッセージが十分理解されていないこともありますので、顧客の要望と商品やサービスとの乖離が大きい場合は、様々な側面からマーケティング戦略を再検討していくべきでしょう。