中小企業、フリーランス・個人事業主・自営業者のためのマーケティングプロセス

スモールビジネスのためのマーケティングプロセス入門

インターネット全盛の今日では、マーケティングの媒体やチャネルは常に変化しており、情報を追いかけるだけでも大変です。

しかし、マーケティングの原則(4P)やマーケティング戦術はほとんど変わりがありません。現在もまだ、ターゲットとなる顧客を定義し、その顧客にダイレクトマーケティング戦略を行う流れになっていますので、特に自営業・個人事業・フリーランスの仕事や、中小企業・零細企業は、この流れに沿って戦略を進めていくべきでしょう。

マーケティングプロセスは、市場開拓戦略(GTM戦略)、価格戦略、ポジショニング戦略など、ビジネスのすべての取り組みに影響をもたらします。初見では複雑怪奇に見えるかもしれませんが、順番に取り組んでいけば、必ずこのプロセスを実行できます。

マーケティングプロセスとは何か

企業が顧客に提供すべき価値を創造し、顧客から価値を獲得するために、強力な顧客関係を構築するステップが、マーケティングプロセスです。

マーケティングプロセスは、業界や企業によって様々ですが、一般的に定義されているように、細かく分類すると以下のようになります。

  1. ミッション
    • ミッションステートメント
    • 企業目標
  2. 状況分析
    • 市場機会の特定
    • 5C分析
    • SWOT分析
    • PEST分析
  3. マーケティング戦略
    • ターゲットオーディエンスの定義
    • 測定可能な目標の設定
    • 予算策定
  4. マーケティングミックス
  5. 実行と調整
    • 計画を行動に移す
    • 結果を監視する

ただ、項目が多すぎると策定段階でエネルギーを使いすぎてしまうため、重要なステップのみ抽出し、早く行動に移せるように以下のように単純化します。

  1. ブランドを定義する
  2. 顧客プロフィールを作成する
  3. 戦略を策定する
  4. 戦略の評価と改善を行う

ブランドアイデンティを構築し、潜在的な顧客にブランド・製品やサービスの存在を認知してもらい、顧客に販売できるようにして、戦略を最適化していくわけです。

マーケティングプロセスの4ステップ

取り組んでいるビジネスによって独自のマーケティングプロセスを組むべきですが、以下4つのステップを基本として組み立てていきます。

1. ブランドを定義する

まず最初にすることは、自分自身を定義する、すなわち、自社ブランドを明確にすることです。

「Webサイトの受託制作をしています」だけでは、曖昧すぎて不十分です。顧客のどのような問題を解決しているのか、なぜそのようなことをしているのかを明確にする必要があります。例えば、「集客に悩んでいるお客様のお悩みを解消するために、集客に効果のあるランディングページ制作サービスを提供しています」といった具合です。

また、ビジネスを独自のものにしているものは何か、企業としてのビジョンは何かを説明する、ミッションステートメントも必要です。

ZARA店舗
ハイブランドと組み合わせても遜色のないアイテムを提供するZARA(Bluewater UK)

Zaraを統括するInditex(インディテックス)のミッションステートメントは以下のとおりです。

当社の従業員は、決してお客様を見失うことはありません。私たちは利益を超えた価値を創造するために努力し、人々環境を意思決定の中心に置き、常により良いものにしようと努力しています。私たちのファッションが身につける権利であることは、私たちのビジネスの基本です。

Who we are – inditex.com

ブランドを定義するために

ブランド構築やブランディングは、あれこれ考えている間は楽しいかもしれません。しかし、競合の多い業界で独自のブランドを生み出すのは、数多くのアイディアを出して推敲していかなければならず、多大な労力がかかります。

5つの問いに答える

ブランドを定義し、ミッションステートメントを作り上げるときには、以下の5つの問いに答えていくとスムーズです。

  1. 顧客は誰か
  2. 競争相手は誰か
  3. どのような問題を解決するのか
  4. 同じ問題を解決する人と自分とはどう違うのか
  5. ブランドにどのような個性を持たせたいか

これらの質問の答えが決まれば、ミッションステートメントがまとまりやすくなります。

ゴールデン・サークルを使う

ブランドアイデンティティを作り上げるには、サイモン・シネックの「ゴールデン・サークル」を用いるのも有効です。

サイモン シネック「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」

ゴールデン・サークルの中心「Why」は、顧客や顧客の生きる世界を中心にするという意味に解することができます。なぜしているのか・なぜ社会や顧客にそれが必要なのか(Why)、どのようにしているのか・どのように社会や顧客に価値をもたらすのか(How)、何をしているのか・その製品やサービスは何か(What)、と順番に考えていきます。

人は「Why」に心を動かされ、ブランドに興味を持つわけです。

2. 顧客プロフィールを作成する

ブランディングの効果を上げるには、できるだけ広く多くの顧客にリーチする必要がありますが、あらゆる顧客が製品やサービスを必要としているわけではありません。従って、ターゲット顧客を知る必要があります。

そのため、理想的な顧客のプロフィールを複数作成します。個人の場合、プロフィールは以下の要素で構成するとよいでしょう。

  • 教育レベル
  • 年齢
  • 性別
  • 役職名
  • 関心事
  • 抱えている問題
  • 現在どのように問題を解決しているか

顧客プロフィールを作成するために

実店舗で営業している場合は、顧客のことがよく見えますが、Eコマース(ネットショップ)の場合など、オンライン中心に製品やサービスを販売している場合、顔が見えませんので、上記のプロフィール構成項目だけで終わらせるのではなく、深堀りする必要があります。

顧客を調査する

既存顧客がいる場合は、アンケートやインタビューで質問し、調査するのがよい方法です。調査は一度だけではなく、定期的に行います。そうすると、顧客の興味・関心や、顧客の人口統計の変化に気づくことができ、適応していくことができます。

3. 戦略を策定する

ブランドと顧客を定義すれば、すなわち、自分が誰であるか、そして、顧客が誰であるかを定義してしまえば、マーケティング戦略の策定を開始することができます。

マーケティング戦略は、ブログ、動画、ソーシャルメディアなど、すべてのマーケティングチャネルが連携し、顧客に一貫したメッセージを送る統合的なものでなければなりません。

気候変動やトランスジェンダーのシーンを含むレゴのRebuild the Worldキャンペーン動画

マーケティング戦略を策定する前に、マーケティング目標を決める必要もあります。各チャネルでどのくらいの顧客にリーチしたいか、どの程度の顧客エンゲージメントを獲得したいか、四半期で何人のリードを獲得したいか、マーケティング予算はどれだけかなど、測定可能な数値目標を定めます。

戦略を策定するために

あらゆるマーケティング戦略があらゆるブランドに使えるわけではありません。ソーシャルメディアに依存する場合もありますし、電子メールマーケティングが適している場合もあります。以下は、ビジネスに応じた戦略を行う際のヒントです。

焦点を絞る

あまりにも多くのチャネルでマーケティング活動をするのは、タイムマネジメントの観点からもお勧めできません。最も少ないリソースで最も大きな効果を出せるチャネルのみに焦点を絞るべきです。様々なチャネルに手を出すのは、評価目的に限ります。

パートナーシップを探る

社内でマーケティング活動を行うことは、自営業・フリーランス・個人事業主や中小企業・零細企業にとっては、難しいこともあります。そこで、デジタルマーケティング全般や、コンテンツマーケティング、電子メールマーケティングなどを外注しようと考えるわけですが、コストがかかりすぎて躊躇することもあります。その場合は、取引先にバーター取引を持ちかけるなど、アライアンスを組むことも考えます。

4. 戦略の評価と改善を行う

マーケティングキャンペーンの効果を確認するには、マーケティング分析を行わなければなりません。データを追跡し、どれだけの効果があったかを特定するために、投資収益率(ROI)を特定します。これによって、どのキャンペーンが顧客の心を捉えたのか、効果が薄かった施策は何かを特定することで、マーケティング活動を最適化していくことができます。

DVDを郵送するサービスを行っていたNetflixには、2006年末に630万人の加入者がいました。2007年にはオンラインストリーミングサービスを開始し、2020年には、加入者が2億人以上に膨れ上がりました。ビジネスが変化していくとともに、マーケティング戦略も変化していかなければなりません。

戦略を評価と改善を行うために

目標を達成し、マーケティングにかかる費用をできるだけ節約するために、マーケティング活動の成果を評価していく必要があります。以下では、マーケティング戦略を調整していくための、いくつかの方法を紹介します。

変化に気付く

データを検証しているとき、ビジネスにとって大きなチャンスになる変化であったり、将来的に大きな変化が起こるような兆しに気づかないといけません。例えば、クライアントが徐々にサブスクリプションに移行しているのであれば、長期的な変化につながる可能性があるので、準備しておく必要があります。

競合他社を調査する

自社のマーケティング戦略の評価だけではなく、競合他社にも目を向けます。競合他社の戦略が何を意図したものなのかを考察することで、市場がどのように変化しつつあるのかの手掛かりを得ることもできます。競合他社がB2Bを始めたら、市場が枯渇し始め、B2Cの先行きが怪しくなっている前触れかもしれません。

マーケティングプロセスの草案づくりを始めましょう

マーケティングプロセス作成の道筋が整いましたので、早速、草案づくりから始めましょう。ミッションステートメントやブランドを作り上げ、顧客プロフィールを定義します。そして、結果を出すためのマーケティング戦略を立案すれば、個人事業主・フリーランス・自営業者であろうと、ビジネスをスムーズに進めていくことができます。

芦屋 十貴夫

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あしやときおと申します。Webプログラミング、Webデザイン、マーケティングを生業としています。