顧客を惹きつけ離さないマーケティングファネル

顧客を惹きつけ離さないマーケティングファネル

商品やサービスを開発しても、クライアントがいなければ宝の持ち腐れです。どのように顧客を集めるか、どのように顧客に購入してもらうか、購入した顧客がクライアントとなり、リピート購入してもらうにはどういうステップを踏めばよいか、これらの手順を順序立てて整理するものが、マーケティングファネルです。

マーケティングファネルは、マーケティングの計画を立てて実行していくために設計されたビジネスフレームワークです。マーケティングファネルを活用することで、マーケティングや販売活動の成功率を上げることができます。

マーケティングファネルとは何か?

マーケティングファネルは、顧客がクライアントになるバイヤーズジャーニーの各段階を分類し、それぞれの段階ごとに販売戦略を調整することにより、顧客を次の段階へ進ませる、ファネル(漏斗)の形態の図解です。

目標に至るまでの各段階ごとに顧客は減っていきますから、必然的に逆三角形の形となり、ファネルのようになるわけです。ファネルの底のクライアントを増やすには、各段階において顧客が漏れ落ちないように最適化をすべきですが、基本は、最上部をできる限り広くすることです。そのため、可能な限りの顧客にリーチすることが基本となります。

一般的に、マーケティングの到達目標は、顧客によって購入が行われるコンバージョンポイントで終了します。そのため、この形態のマーケティングファネルは「セールスファネル」や「コンバージョンファネル」と呼ばれることもあります。

マーケティングファネルは、セールスファネルにマーケティングの一部であるクライアントの維持と推薦によるビジネスの拡大を加えて、よりマーケティングの主旨に近づけた形を採ります。よって、マーケティングファネルの到達目標は、顧客のライフサイクルステージを含めたものになります。すなわち、バイヤーズジャーニーとカスタマージャーニーを統括したファネルが、マーケティングファネルとなります。

マーケティングファネル
この図はマーケティングファネルの各段階を表しています。

マーケティングファネルを活用するときには、様々な指標を追跡して、マーケティングファネルの各段階で使われる戦術の効果を測定します。様々なマーケティング戦略を試し、効果測定することによって、どの戦略が最も効果的かを評価していくわけです。

効果測定は、手動で行うと果てしなく時間を浪費するので、専用のソフトウェアを使って自動化します。CRMやマーケティングオートメーションなどのツールや、Webサイトの分析にはGoogle Analyticsなどのプラットフォームを使うのが一般的です。

マーケティングファネルの各段階

マーケティングファネルの各段階の顧客は、それぞれにそれぞれのマーケティング戦略で対応する必要があります。

1. 認知(Awareness)

商品やサービスを初めて知った顧客が含まれる段階です。全く興味のない顧客ばかりを集めても、ファネルの次の段階に進めることは難しいので、ターゲットとなる顧客像を特定しなければなりません。顧客はどのような属性を持っているのか、例えば、学歴、収入、性別、スキル、趣味など、商品やサービスを提供したときに、最も喜ばれるであろう顧客像、ターゲットオーディエンスを決めます。

ターゲットオーディエンスを決めれば、デジタルチャネルやソーシャルメディアを通じて配信されるコンテンツを通じて顧客を引き寄せるタイプの、デジタルマーケティングの核となるインバウンドマーケティング、あるいは反対に、顧客を迎えに行くアウトバウンドマーケティングの手法を用いて、オーディエンスにリーチできます。どちらのマーケティング手法にも長所と短所がありますので、インバウンドを主体にアウトバウンドを組み合わせると効果的です。

インバウンドマーケティングの中心となるのはコンテンツマーケティングです。幾つかの戦術を以下に挙げます。

ブログ投稿
ターゲットオーディエンスが関心を持つ記事を提供するという、コンテンツマーケティングの原則を採用します。ビジネスや業界の話題に関するアドバイスや有用な内容を提供することで、この情報に関心を持つ顧客を引き寄せ、なおかつ、専門知識を紹介していることによって、ターゲットオーディエンスの中でブランドが育っていきます。
検索エンジン最適化(SEO)
毎日、人々は80億回以上、Google検索しています。Google検索以外の検索を加えると、人々はもっと多く、何かを探すために検索しています。ですので、検索エンジン対策はとても重要な施策です。検索エンジン最適化(SEO)は、モバイル・デスクトップ合わせて80%以上モバイルのみでは実に90%を超えるシェアを誇るGoogle対策を主とします。
無料コンテンツ
無料コンテンツ提供の目的は、顧客の連絡先情報を得ることです。メールアドレスと引き換えに無料コンテンツを提供するわけです。B2Bの場合は特に、メールアドレスだけではなく、会社名や所属や肩書など、より詳細な情報を取得する必要があります。顧客の情報が多ければ多いほど、より効果的なアプローチが可能だからです。

アウトバウンドマーケティングでは、リアル環境でのチラシやコールドコールなどや、オンラインでの広告ネットワークなどデジタルプラットフォームでの広告を用います。

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの目的は同じで、できるだけ多くのターゲットオーディエンスをWebサイトや店舗に呼び込み、顧客をリードに変えて、マーケティングファネルの次の段階に誘導することです。

2. 検討(Consideration)

商品やサービスにに関心のある顧客が、購入するかどうかを検討している段階です。ニュースレター(メルマガ)を購読したり電子書籍をダウンロードするために電子メールを提供することによって、顧客が検討段階に足を踏み入れ、リードに変わったことを意味します。

営業担当がいる場合は、ここからは営業の仕事になります。営業担当がいない場合は、マーケティングファネルの更に下に顧客を移動させるよう、この製品やサービスが顧客の抱えている問題を解決できることを、顧客に納得させなければなりません。

電子メールキャンペーン
購読を解除される宣伝やスパムではなく、他では入手できないような顧客にとって価値あるコンテンツを送信します。業務の効率を考慮すると、電子メールマーケティングソフトウェアを使ってキャンペーンを自動化していくのが合理的です。
ケーススタディ
顧客は興味を持った製品やサービスについて、より詳細な情報を求めます。ですので、他の顧客が製品やサービスからどのような利益を得たかを説明するケーススタディを提供することで、顧客の信頼を高めることができます。
ツール・テンプレート
顧客の多くは、すぐに業務に使える無料ツールやテンプレートをありがたく思います。顧客はこれらを使う時に、商品やサービスを思い出します。

この段階では、顧客の育成を目標にして、より関係を深めるための施策を行います。上記の他には電子書籍、ウェビナー、ホワイトペーパー、動画なども活用できます。

3. 購入(Conversion)

この段階まで関係を育んできたのであれば、商品やサービスが販売されていることを受け入れています。この段階までできるだけ多くの顧客を集めることが目標です。ただ、購入に至るのは難しい場合もありますので、顧客との関係を維持しつつ購入してもらうための戦術をとっていきます。

フリクションをなくす
カゴ落ちの顧客にフォローアップメールを送ったり、ショッピングカートが放棄される場合は、原因を探って、例えば送料が高かったり注文ステップがわかりにくかったりする場合は改善し、顧客を混乱させるフリクションを減らしていきます。
インセンティブを提供する
ある程度の金額以上は送料を無料にしたり、割引クーポンを発行したり、サービスの無料トライアルを設けたり、ホリデープロモーションを活用するなど、顧客が商品やサービスを購入する動機づけを与えます。

4.忠誠(Loyalty)

コンバージョンしたら終わりではありません。顧客が商品やサービスを購入してクライアントとなった後も、クライアントの関心を惹き付け、関係を育む必要があります。

というのも、新規顧客を獲得する金銭的コストよりも、既存クライアントを維持するそれのほうが少なく、また、コンバージョン段階を通り抜けたクライアントは、製品やサービスを体験しており、製品やサービスが自分に何をもたらすか理解しているため、さらに購入する可能性が高くなるからです。

ロイヤルティプログラム
リピート購入の場合に、通常より割引したり特典を設けたりすることで、継続した取引を促します。ポイントカードが良い例です。
電子メール
一度購入されても、時間が経つと忘れていきます。特別割引やオファーで定期的に連絡をしたり、新製品や他の商品のオファーをするなど、クライアントの関心を繋ぎ止めます。
ニュースレター
パーソナライズした電子メールを定期的に送信します。追加購入を促すためのインセンティブを加えますが、有益な情報を提供することに重点を置きます。売り込み感をできるだけ少なくすることによって、クライアントとの関係を維持していきます。

他にもソーシャルメディアでの交流やサポートコンテンツ、プライベートなコミュニティーなど、関係を維持する方策を取っていきます。

5. 推薦(Advocacy)

次は、商品やサービス、ブランドを、他の顧客に推薦するよう促し、新しい顧客を生み出していく段階です。ファネルの最上部から新規顧客を追加していく費用を増やすよりも、この段階に資金を投じるほうが効果的です。

製品やサービスをクライアントにレビューしてもらったり友人知人に共有してもらったりするのを促すために、インセンティブを提供します。例えば、テスラでは、新規クライアントの紹介に、1,500km相当の無料充電特典や抽選を提供しています

この段階では以下のような方策をとっていきます。

調査
アンケートを活用したり調査することで、製品やサービスに関する情報を収集します。調査から改善点を導き出し、クライアントにフィードバックすることで、クライアントからの印象がよくなります。
改善
利用しにくい返金ポリシーがフリクションを引き起こしている場合は、顧客エクスペリエンス向上のために改善すべきかもしれません。ただ、先の調査を含め、日本の場合は消費者過保護や過剰サービスによって労働生産性が極めて低くなっているため、例えば市場そのものの見直しも検討すべきでしょう。
紹介
クライアントの友人や家族に割引を適用するなど、新規クライアントを紹介してくれるクライアントにインセンティブを提供する紹介プログラムを作成します。

また、クライアントにとって価値のあるコンテンツを作り続け、クライアントとの関係を育てていくことで、クライアントとブランドストーリーを共有し、ブランドを支持することになっていきます。この声を外に広げていく方法を策定し、実行します。

マーケティングファネルを使うメリット

1. 売り上げが伸びる

マーケティングファネルの各段階で、継続的に状況を分析することで、より上手くいく戦略に調整していくと、それぞれの段階で戦略が最適化されるので、売上を伸ばすことができます。

2. 顧客について理解できる

顧客の行動を追跡し、分析することで、顧客そのものや、顧客が望んでいるもの、顧客を引き寄せるコンテンツが何かを理解できます。そして、コンバージョンの改善するための原因や顧客維持の強化についても、理解が進みます。

3. リードの焦点を合わせられる

マーケティングファネルを利用している段階で、どういった顧客が商品やサービスを購入するかを確認すると、ターゲットオーディエンスを絞り込むことができます。そして、コンバージョンの可能性が最も高い顧客に焦点を合わせられます。一方、理想的な顧客をターゲットとするために、商品やサービスを変更していくという方法もあります。

マーケティングファネルのまとめ

一般的に、カスタマージャーニーはコンバージョンまでを取り扱う場合が多くなりますが、ここでは、カスタマージャーニーをバイヤーズジャーニーとし、その後の顧客体験をカスタマージャーニーとしています。「バイヤー」は購入までの顧客、「カスタマー」は購入後のクライアントです。

マーケティング戦略を作成する前に、カスタマージャーニーマップ、すなわち、バイヤーズ&カスタマージャーニーマップを作成して、顧客が辿る道筋を明らかにし、その上でマーケティング戦略を策定すると、よりマーケティング活動の効果を高めることができます。

マーケティングファネルを活用して、それぞれの段階で顧客の要望に適切に対応するように、そしてフリクションを無くす方向で、戦術を調整していきます。そうすることで、ビジネスを維持することができ、成長もしていけるでしょう。

芦屋 十貴夫

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あしやときおと申します。Webプログラミング、Webデザイン、マーケティングを生業としています。