※死にゆく社会でどう生きていくか (1) 失業、自殺、賃金、餓死から見る日本社会の続きです。
死にゆく社会でどう生きていくか (2)
オランダの画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは「木の根と幹」を遺作として自らを拳銃で撃ち、亡くなりました。
日本は世界的に見て自殺の多い国ですが、ここ10年ほどは統計上、自殺で亡くなる方は減少しており、2003年の32,109人(警察庁の統計では34,427人)をピークに、第2次安倍政権の2019年には19,425人と、(公式では)大幅に下がりました。

厚生労働省によると、自殺の原因は、「健康問題」「経済・生活問題」「勤務問題」「学校問題」が多く、近年では「経済・生活問題」の減少率が最も著しいとのことです(厚生労働省「自殺対策白書 5 原因・動機別の自殺者数の推移」)。
つまり、日本の経済がよくなり、経済的に生活が豊かになったため、自殺者が減っているとのことなのです。
しかし、日本では経済も生活環境も日増しに悪化しているのが事実です。にもかかわらず、「経済・生活問題」での自殺者が減っているとの説明は、甚だ疑問に思えます。
ではなぜ、公式の統計では自殺者が減っているのでしょうか。
原因不明とされた死者
さて、ここで、原因不明とされた死者数を見てみます。
以下のグラフは、死因のうち「その他の突然死(急死)、原因不明」「立会者のいない死亡」「その他の診断名不明確及び原因不明の死亡」「不慮か故意か決定されない事件」の合計を、年別に表したものです。

自殺者数のピークである2003年の原因不明の死者数5,152人に対し、2020年のそれは、23,051人と、1万8千人弱も増え、実に4.5倍となっています。
特に第2次安倍政権時代には、自殺者数の減り方と対象的に、急角度でグラフがせり上がっているのが見て取れます。病理解剖や法医解剖の医師が少ないという問題がありますが、この激増はどういうことでしょうか。
試みに、自殺者数に原因不明の死者数を加えた死者数を見てみます。

自殺者のピークとされる2003年は37,261人、自殺者が最も少ない2019年には41,488人、2020年には43,294人となります。
ところで、そこら中にいる「ネトウヨ」といわれる人たち(自称「右でも左でもない普通の日本人」)が言う安倍政権の実績として、「自殺者が減った」ことを挙げるのですが、もちろん嘘です。
事実を見ればすぐにわかる通り、自殺者が減り始めたのは2009年以降で、民主党(鳩山政権)が生活保護と自殺者対策に力を入れたからです。
市民を家畜としておきたい自民党にとっては、民主党の政策はまさに「悪夢」でしたので、生活保護バッシングに明け暮れ、震災・原発事故への協力を拒否し足を引っ張り、市民生活の改善を妨害し続けてきました。
弱者叩きに拍手喝采して賛同したり、見て見ぬ振りをしていたのは、性差別、障害者差別、外国人差別、歴史修正などをアイデンティティとし、生まれながらに政治から遠ざけられ、只々飼い主に従うだけの家畜として生産されてきた、大多数の普通の日本人市民でした。
極右政権が長期に渡って続き、ファシズムが蔓延しているのは必然と言えましょう。
※死にゆく社会でどう生きていくか (3) : 続く