日本語では「ネットショップ」「ネットストア」などと言われることが多い、オンラインショピングができるEコマースWebサイトは、物販だけではなく、もちろんスキルも販売できます。
例えばWebサイトの制作・開発会社、会社ではなく個人事業主・フリーランス含め、自社Webサイトは、「実績」「制作の流れ」「お問い合わせ」などで構成されている場合が多く、Eコマースを活用して販売している事業者は少ないようです。
特に個人事業主・フリーランスですと、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトで仕事を得ている方も多く見られます。
Webサイト構築は依頼者ごとに要望が様々でオーダーメイドになるため、製品としては販売しにくいと思うかもしれませんが、Webサイト構築パッケージとして製品化すれば問題ありません。
販売チャネルを増やして効果的に販売すれば、オンラインでの売上を大きく増やせる可能性が飛躍的に高まります。そして、効果的に販売するには、マーケティング戦略が必要となります。
正しいマーケティング戦略がなければ、そしてそれが正しく運用されていなければ、どれほど素晴らしい製品でも、どれほど優れたスキルを持っていても、顧客に無視され、気付かれさえもしません。
ここでは、オンラインマーケティングを進め、より効果的に製品やサービスやスキルを販売することができる、以下5つの重要なステップを説明します。
- ターゲット顧客を明確にする
- 競合他社を研究する
- 説得力のある製品ストーリーを作る
- マーケティング戦略、チャネル、ツールを選択する
- マーケティングキャンペーンを計画し、実施する
製品をオンラインで販売する5つのステップ
マーケティングキャンペーンを通して有益な結果を得るには、以下の手順に従います。
1. バイヤーペルソナを作成する
製品を必要としない顧客に製品を紹介しても、全く意味がありません。そのため、製品を必要としている顧客に向けて、製品を紹介する必要があります。ですので、ターゲットとなる顧客像をバイヤーペルソナとして作っていきます。
バイヤーペルソナ、あるいは単にペルソナとは、実在の顧客に関する市場調査やデータに基づいた架空の「理想的な顧客」プロフィールのことです。
主に以下の属性を決めることで、バイヤーペルソナを作成します。
- 名前
- 仕事・肩書
- 年収
- 解決したい悩み
- 好み
- 主に使っているデバイス
B2Bの場合は、担当者個人のバイヤーペルソナでも対応可能ですが、より詳細に、会社の属性を加えてより具体的にすることもできます。
- 企業規模・従業員数
- 本社所在地・拠点
- 業種・業務内容
- 売上規模
- 業界の特徴
- 決済者
バイヤーペルソナの作成ツールはGoogleスプレッドシートやExcelなどでもよいですが、よりビジュアル的にわかりやすくするには、例えばCanvaが使えます。レジュメ(履歴書)テンプレートを活用して、テキストを置き換えていくと、簡単に作れます。

バイヤーペルソナはひとつだけではなく複数作ります。そうするとよりターゲットオーディエンスが明確になり、顧客とコミュニケーションを取りやすくなります。
2. 競合他社を調査・研究する
競合他社を調査することで、どのマーケティング手法が効果があってどれがないのかを、より明確にすることができます。
例えば競合10社のうち9社がコンテンツマーケティングを行っており、多くのトラフィック(アクセス)を得ているならば、コンテンツマーケティングにチャンスがあることが分かります。
競合他社の真似をする必要はありませんが、何がうまくいっているかを知ることで、優先すべきは何かが分かり、意思決定がより正確にできるようになります。
競合他社調査には、SimilarWeb、Dockpit、Neik Patelなどの便利なツールを利用できます。
SimilarWebの場合、自身のWebサイトを検索すると、「競合および類似サイト」に競合他社のWebサイトが表示されます。

そして、競合他社がどのソーシャルメディアからのトラフィックを獲得しているかと、いったことも確認できます。

このようなツールを使うことで、競合他社の動向を多く収集できるので、どういったマーケティング手法が自社の製品に最適なのかを、知ることができます。
そして、競合他社の製品について、顧客がどういう印象を持っているか、どこを良いと思っているのか、どこを悪いと思っているのかなどを確認しましょう。
さらには、競合他社がニュースレターを発行しているのであれば登録し、どういう情報を発信して、どういうポジショニングを取っていて、どういうマーケティングキャンペーンを行っているかを、自社のこれらと比較してみるのは、たいへん有効です。
3. 説得力のある製品ストーリーを作る
製品のマーケティングを成功させるには、一貫した説得力のある製品のストーリーを作らなければなりません。
顧客が製品からどのような利益を得ることができるか、というストーリーです。顧客が製品を目にして、「この製品は私のこの問題を解決してくれれそうなので必要だ」と思わせるストーリーです。
顧客の問題と関連させることで、マーケティング資料(製品説明)と顧客との関連性がさらに向上し、購入のための説得力を強化します。これによって顧客生涯価値(CLV)も増していきます。
単なる製品の説明は、顧客の心を動かしません。説明の背後にある利点を明らかにしましょう。その機能は顧客にとってどのような利点があるのか、顧客のどんな問題を解決するのか。そうすることで、製品と顧客とが繋がります。
また、インパクトのある言葉を使うのが効果的です。

4. マーケティング戦略、チャネル、ツールを選ぶ
製品のマーケティング戦略やチャネルやツールは膨大にあって、どれを選ぶべきか迷います。そのすべてを試してみるのではなく、バイヤーペルソナ、競合他社調査、ストーリーに合った戦略、チャネル、ツールを絞り込んでそれにリソースを集中させるほうがよいでしょう。
Eコマース用の電子メールマーケティング、Google広告やFacebook広告などペイドメディアの広告、オーガニック検索など、どのマーケティング戦略をとるにしろ、必ず効果測定は行うべきです。
バイヤーペルソナから外れないよう、彼らが普段使うメディアや趣味や興味には注目しておき、また、ストーリーは、ターゲットオーディエンスに価値をもたらし、注目を引くような独創的なものを用意します。
5. マーケティングキャンペーンを計画し実施する
マーケティングキャンペーンを計画するには、ビジネスの目標、製品ライフサイクルにおける価格動向などに基づき、短期的な戦略と長期的な戦略を明確にします。
短期的なキャンペーンの場合、有料広告を使ったり、インフルエンサーと協力したり、オンラインイベントを開催するなどができます。
長期的なキャンペーンの場合、検索エンジン最適化(SEO)やコンテンツマーケティングは、長期的な影響力を持つため、メッセージの一貫性を保ちつつ、綿密な監視が必要となってきます。
キャンペーンの予算を決める際には、Webサイトの構築・メンテナンス、広告、ブランディング、検索エンジン最適化など、マーケティングに関わる全てを含めます。
獲得単価やコンバージョン率を意識し、Eコマースのための主要業績評価指標(重要業績評価指標、KPI)に基づき、期限を定めた測定と達成が可能な現実的なビジネスの目標を決め、戦略を継続的に調整し、最適化していきます。
オンライン販売のためのEコマースソフトウェア
スキルに基づいた商品を販売する場合は、様々なマーケットがありますが、ここではEコマースWebサイト(ECサイト、ネットショップ)について、いくつかを紹介します。
自分で構築するソフトウェアもあれば、サービスとして提供されているソフトウェアもあります。無料での使える場合も多いので、まずは使ってみて、機能などがビジネスに合っているかどうかを確認したあと、有料での契約で使い続けられます。
1. Shopify
Shopifyは海外製のサービスですが、日本語にも対応しています。自社Webサイトにショッピングカートを埋め込むこともできるので、柔軟に利用できます。また、いくつかのマーケティング機能が基本機能で賄え、アプリで機能を追加していけます。

「世界175か国で1,000,000のビジネスがShopifyを使用し」ているとのことですので、信頼できるEコマースサービスと言えましょう。
2. STORES
STORES(ストアーズ)は日本製のEコマースサービスです。マーケティング機能はShopifyのように数多く備わってはいませんが、ニュースレター(メールマガジン)の発行機能もあります。

3. BASE
BASE(ベイス)も日本のサービスです。STORESと似ていますが、小規模なEコマースを運営するのであれば、販売手数料が高くはあるものの決済手数料が安いBASEのほうが向いています。

4. Wix
WixはShopifyやBigCommerce(日本語未対応)と並ぶ有名なEコマースプラットフォームです。多数のテンプレートやドラッグ&ドロップ式のエディタ、検索エンジン最適化(SEO)やモバイル最適化機能など、基本的な機能はすべて揃っています。
Shopifyと異なる点は、大規模ではなく小規模なオンラインショップの運営に特化していることです。

5. Jimdo
Jimdo(ジンドゥー)もまた世界中で利用されている有名なEコマースサービスです。自分オリジナルのデザインで作りたい場合に便利な機能が備わっています。マーケティング機能はありませんので、別途マーケティングツールを活用していくことになります。他のEコマースプラットフォームも同様で、本格的なマーケティング戦術を実行していくには、専用のマーケティングツールを使っていきます。

6. その他
ECプラットフォームを使わず、サーバーの契約が必要になりますが、EC-CUBEや、WordPressとWooCommerceなどを利用して独自でネットショップを用意することも可能です。
製品やスキルをオンラインで販売しましょう
複数のマーケティング戦略を統合した統合型マーケティング戦略をうまく活用していくと、マーケティングにかかる費用も最適化され、Eコマースビジネスも成果が見込め、販売ラインを確立していけるでしょう。