失業、自殺、賃金、餓死から見る日本社会

失業、自殺、賃金、餓死から見る日本社会

死にゆく社会でどう生きていくか (1)

失業した。

派遣でなんとか生活をしていた。

派遣で採用されたときは、助かったと安心した。
政治をやっている人たちが、失業して生活に困っている自分のような人を救う手立てを打ってくれていたんだと、心底安堵して、感謝した。

自殺者も減ったと聞いていた。

今は、といえば、どうだろうか。
コロナの影響で、失業者が増えているらしい。

必死に仕事を探しているけれど、全然見つからない。

手持ちのカネはもう底をつきそうだ。

早くワクチンが実用化されて元通りになってほしい。

正社員から派遣社員になって、生活が厳しくなり、貯金を食いつぶしていっていた。
キャシング枠もいっぱいで、これ以上は借りられない。

別に、ぜいたくをしていたわけではない。
電気代や食費やスマホ代、それに、キャッシングの借金が、重くのしかかっている。
年金も保険も支払う余裕がない。
減らせそうな出費は家賃だけれど、引越し費用が捻出できない。

このまま仕事が見つからなかったらどうしようか。
家賃が払えなくなったら、出ていくしかないだろうか。

それとも……。

新型コロナウィルスの蔓延が進んだ2020年中盤から、失業者や自殺者が増えています。

安倍政権末期から失業者が急増
第2次安倍政権末期から失業者が急増しています(完全失業率推移
安倍政権末期から自殺者が急増
第2次安倍政権末期から特に女性の自殺者が増加しています(警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等令和3年中における自殺の状況

しかし、失業者や自殺者が急激に増えているのは、新型コロナウィルスのパンデミックが原因ではなく、これまでに政治が作ってきた社会の結果、その影響が目に見える形で現れてきたということに他なりません。

いざという危機に、それを乗り切れるだけの生活基盤を固められる社会にしてこなかったために、むしろ、生活基盤を破壊する方向で社会を作ってきたために、いきなり崖っぷちに立たされて、人生そのものを失う人が、続出しているのです。

世界主要国が賃金上昇しているにも関わらず、日本は賃金が横ばい
日本の賃金は30年間上昇していません(Average wages

ここで日本人の平均賃金を見てみると、平均的なアメリカ人のたった55%しかなく、その上、韓国などの新興国より少ない額となっています。

(日本では、東日本大震災以降、政権が交代してから、なにもかもが上手く行っていると人々に信じさせるために、統計の改ざんが大規模に行われるようになりました。ゆえに、日本に暮らす市民の生活状況はより悪いと見るべきでしょう。※参考:大規模な統計データ不正が発覚 消費税増税を強行する根拠なしアベノミクス指標に“仕掛け” GDP算出方法変更、不都合な試算拒む

日本の最低賃金はOECD平均より低く、韓国の3分の2程度
日本のフルタイム労働者の賃金は低レベルに留まります(Wage levels

最低賃金もまた安く、アメリカの半額以下、韓国の3分の2程度しかありません。

その上、物価や税金・保険料などが上がっていっているので、自由に使える手取り収入はひたすら下がり続けています。

平均的収入の日本人が、他の先進諸国で平均的な生活を送るのが到底不可能な状況にまで、日本社会は落ちぶれています。

実質可処分所得は年々減少
実質所得は下がり続け、生活は苦しくなり続けています(消費税増税等の家計への影響試算

さらには、自民党政権の政策によって非正規雇用を増やし続けた結果、世界でも有数の不安定雇用社会となっています。

派遣法の影響もあり非正規雇用が増加
この20年弱で非正規雇用者が10ポイント弱増えています(労働力調査
特に女性の非正規雇用が増加
女性に至っては、非正規雇用が半数を超えるまでに至っています(労働力調査

実に6割弱の女性が非正規雇用で、男女賃金格差が世界的に見て極めて大きく、女性にとってはたいへん厳しい社会です。

日本の男女賃金格差は世界的に有数の大きさ
日本の男女賃金格差は、世界的に見て高い状況です(Gender wage gap

しかも、新型コロナの流行に対して、全世界がウィズアウト・コロナに必死に取り組んでいるにも関わらず、日本はウィズ・コロナという真逆の政策を進めて伝染病の感染を広げています。

「国民の生命及び健康を保護」という法にあからさまに反しているわけですが、自民党の掲げる「自助」のもとでは、新型コロナに感染するのも、感染して苦しむのも、感染して死ぬのも、感染を広げるもの、医療崩壊するのも、医療にアクセスできないのも、第一に私たちの責任とさせられます(この「自助」は、粗衣粗食を旨とした上杉鷹山の自助とは異なり、一般市民にのみ強要されます)。従って、コロナ後遺症や重いワクチン副反応の補償も、自民党が支配する社会では、期待しないほうがよいでしょう。

第2次安倍政権の時代において、大雪・大水害・大地震など、数多くの甚大な災害が発生しましたが、人々が助けを求めているその只中に、酒を飲み、ゴルフをし、自宅に帰り、ことごとく動きませんでした。それは政権が替わった今も全く変わりません。ありとあらゆる危機に一切対応せず、自分たちの懐が潤うこと(税金のピンハネなど)以外は何もしません(実際、新型コロナパンデミックに真剣に対応している国(つまり日本以外の世界)と日本とを比較してみると、あからさまな相違に(一部の人を除いて)唖然とするでしょう)。

これは、市民から預かり市民のために使うべき税金をそうとは認識せず「税収とは国民から吸い上げたもの」と言い放った安倍晋三の言葉に、端的に現れています。彼らは私たちを「お国」のために働いて奉仕するだけの存在(言うなれば家畜)としてしか見ていないとわかります。

税収とは国民から吸い上げたものでありまして

2016年1月21日参議院決算委員会において安倍晋三
安倍晋三と麻生太郎の嘲笑
国会で笑い合う安倍晋三と親戚の麻生太郎(Japan Today)

こういう思想の持ち主が大きな権力を持てる世の中ですから、生活が苦しくなり、公的支援を求めようとしても、いわゆる「水際作戦」で排除されるのは自然です。

実際、第2次安倍政権で生活保護率が頭打ちになり、大きく減り始めた事実から、生活保護受給者を減らすノルマが強化されたことが伺えます。

安倍政権で頭打ちとなった生活保護率の変遷
安倍政権で生活保護率は頭打ちになりました(被保護者調査

不景気が続き、収入が減り、生きていくのも大変な人が増えているのにも関わらず、この仕打ちです。

2012年には、自民党による大々的な生活保護バッシングが行われ、安倍晋三が首相になってからは過去最大の給付水準引き下げが行われました。困窮者への抑圧を扇動した自民党が、人々を公的支援から追いやった結果、餓死者はますます増えています。

安倍政権で急上昇した餓死者数
安倍政権で餓死者が急激に増えました(人口動態調査
安倍政権で女性の餓死者が増加
安倍政権で女性の餓死者が男性を上回る傾向となりました(人口動態調査

自民党、特に自民党極右は、性差別や歴史修正など、人権に真っ向から反する思想を基盤としており、これにネオリベラリズムが合わさって社会に反映されたことが要因で、このような「悪夢の」現実となっていると言えましょう(差別・歴史修正・ネオリベは自民党に限りませんが)。

住みたくない国ランキング下位常連の日本ですが、人助けランキングで世界最下位となっているように、現代の日本人は困っている人を助けようとしません。

日本が新型コロナ対策で大失敗を犯しているのは、偶然ではありません。多くの人が現状を追認し、他人の人生や命をまったく気に留めないために、このような殺伐とした社会に成り果ててしまったわけです。

世界で最も他者に冷淡な日本人
日本人は世界で最も他者に冷たいことがわかります(CAF World Giving Index 10th edition

「新型コロナの感染者や死者は欧米より少ない」と簡単に言ってしまう人をよく見かけますが、ひとりひとりにそれぞれ意味のある人生があることを、彼らは全く理解しません。見ず知らずの他人が死のうが国の失策で殺されようが、どうでもよいのです。人を助けるためにビタ一文払いたくないという考えを持った人々は、人を助けるためにビタ一文払わないという考えの為政者を選ぶでしょう。こういう考えの人が大半なのですから、国が市民を助けるためにビタ一文払いたくないと考えるのは当然です。

(感染者《数》を低く抑えるには、日本政府が行っているように、検査を抑制すればよいのです。実際100万人の感染者がいても、そのうちの1万人しか検査しなければ、感染者数を1万人と偽装できます。死者数も偽装できますし、医療機関に医療拒否させて「自宅療養」させる棄民政策をとれば、市民のために税金を使わなくて済みます。それに、インドなどのように病院の廊下に患者が溢れる様子を人々が見ることもなく、悲惨な状況を表沙汰にせず隠せますし、検査結果という証拠を残さなければ後々の訴訟リスクも回避できます。これは、このところほとんど報道されなくなった、人類史上最悪の福島原発事故でも行われています。「(測定結果が存在しないので)放射能汚染もないし被害者もいない」という詭弁です。議事録を残さないとか公文書を破棄するとかも、安倍政権後からは隠しもせずあからさまに行われるようになっていますよね。)

国を運営する人たちが、私たちの命を軽く扱い、死と隣り合わせの生活を強いており、これを多くの日本人が善しとして選んでいるという事実。多くの日本人が隣人がどうなろうと意に介さないばかりか、自分や家族の生活や人生や命を国家体制より軽く見ており、意識的にしろ無意識的にしろ、批判的思考を持たない家畜として生きる道を選んでいるという事実。まずはこの事実をしっかりと認識する必要があります。

(ここで、「私たちが家畜として生きていくことを自ら選んでいるのは本当か」という疑問が生じてきますが、別稿に譲ります。)

※死にゆく社会でどう生きていくか (2) : 自殺者が減っているのは本当か?

芦屋 十貴夫

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あしやときおと申します。Webプログラミング、Webデザイン、マーケティングを生業としています。