マーケティングの4つの原則(4P)のうちひとつは「流通(Place)」であり、ターゲット市場を理解することです。しかし、ターゲット市場がわかったところで、効果的なマーケティングキャンペーンがなければ意味がなく、マーケティングキャンペーンも、マーケティング目標を明確にしなければ、まとめ上げるのは難しいでしょう。
自社ブランドをマーケティングするための実行可能な手順を明らかにするには、自社のミッションやリソースを根本から見直す必要があるので、マーケティング目標を決めるのを躊躇するかもしれません。
しかし、市場に強力な足場をもっていない中小企業や個人企業・個人事業主・フリーランス・自営業者にとっては、これを行うか行わないかは、生死に関わる問題となり得ます。
マーケティング目標を決められれば、統合型マーケティング戦略の取り組みが、はるかに効果的に進められることに気付くでしょう。
それでは、マーケティング目標とは何か、まずは確認していきます。
マーケティング目標とは何か
マーケティング目標とは、自社ブランドが市場での競争優位性を確立するための目標です。
マーケティング戦略を決める前に、達成すべきことを具体的な数値として定め、マーケティング目標を決めていきます。
マーケティング目標を決める際に考慮すべきこと
最終的に、マーケティング目標はビジネスに大きく左右されますが、マーケティング目標を決める際に、考慮しなければならない事柄が3つあります。
1. 強力なビジョン
適格なマーケティング目標を決めるには、組織として何を達成しようとしているかの包括的な組織のビジョンが必要となります。
大企業が専有している市場をターゲットとするような無茶な真似をせず、ビジネスとしてのニッチ、大手が狙わないような小規模で見逃されやすい領域が何であるかを決め、ターゲットオーディエンスにマーケティングメッセージを伝えるために、何をしなければならないかを考えます。
2. データの追跡
ビジネス指標は、マーケティングの成功に欠かせないものです。
リードをどれだけ生み出しているか、どれだけのインフルエンサーと契約して製品を宣伝しているかなど、マーケティング目標を達成したかどうかを判断する上で重要な指標を把握しなければなりません。
電子メールマーケティング用のソフトウェア、CMSソフトウェア、ソーシャルメディア管理のソフトウェアなどを使い、活動を記録し、追跡します。
3. 具体的な目標
「顧客サポートをより丁寧に行う」という曖昧な目標ではなく、「次の四半期に優良リードを20%増やす」といった、数値化した具体的な目標を設定します。
具体化しなければ、データの追跡も評価もできません。
マーケティング目標の設定方法
マーケティング提案書の作成は比較的簡単ですが、マーケティング目標は、十分時間をかけて行うべきで、以下5ステップに準じて設定していきます。
1. 組織の目標を見直す
いかなるマーケティング目標であろうと、組織全体の目標に沿って構築しなければなりません。
自社のビジョンや戦略を考慮し、これらが描く目標の実現に一歩ずつ近づくために、どのような手順を踏めばよいのか考えていきます。
マーケティング目標がなかなか定まらないようであれば、組織のビジョンを見直す必要があります。
2. ブレインストーミング
マーケティング目標はマーケティング担当者だけの問題ではなく、会社全体の事業に関わることですので、マーケティングチーム、営業チーム、顧客サポートチーム、製品開発チームなど、あらゆる部署を巻き込んで、ブレインストーミングを行うことが重要です。
もちろん、組織が1人の場合は、すべてを1人で行い、1人でマーケティング資料をまとめ上げていかなければなりません。
3. 目的を明確にする
ブレインストーミングの後は、目標をリストアップし、その目標を精査するためのフォローアップミーティングが必要となります。
それぞれの目標に設定した期限は現実的か、現実的に達成可能な数値か、人材は適切に割り当てられているかなど、詳細な部分を話し合います。
この際、SMARTフレームワークを用いるのは有効です。
- マーケティング目標は具体的か(Specific)
- マーケティング目標は測定可能か(Measurable)
- マーケティング目標は達成可能か(Achievable)
- マーケティング目標はビジネスのゴールに関連しているか(Relevant)
- マーケティング目標は期限付きか(Time-Bound)
4. マーケティング戦略を立てる
マーケティング目標が明確になれば、次はマーケティング戦略の構築です。それぞれの目標をいつまでにどのように達成するのかの手順を作成します。
達成までの手順は、細かく分解し、目標達成できるよう可能な限り具体的な作業に落とし込み、担当を割り当てます。
5. 結果を測定し検証する
マーケティング目標は、ビジネスの最終的な目標に至る一本道ではなく、繰り返しのステップとみなします。定期的に、例えば四半期ごとに測定結果を出し、マーケティング目標は達成できたのか、何がうまくいって何がうまくいかなかったのか、その結果次の四半期にはどうすべきかを検討します。
リードの動向やWebサイトのトラフィック(アクセス)など、重要なマーケティング指標を追跡するには、ソフトウェアを使います。大抵のソフトウェアは、効果測定に活用できる詳細なレポートを作成できます。
マーケティング目標のKPIの例
どのようなビジネスに取り組んでいるか、ターゲット市場はどのようなものかなどによって、マーケティング目標は異なってきます。ここでは一般的なものをいくつかご紹介します。
ブランド認知度の向上
マーケティングキャンペーンの共通の目的は、ブランドの認知度を高めることです。顧客がブランドを知らなければ、製品やサービスを購入することがありません。ターゲット市場でブランドがどの程度認知されているかを知ることが重要です。
ブランドの信頼性の向上
ブランドが認知されれば、その評判が気になります。ブランドが知られるだけではなく、顧客がブランドを通じてよい経験ができれば、顧客はブランドを信頼できるものとして考えます。
Webサイトのトラフィック増加
商品やサービスをインターネットで販売もしくは宣伝しているのであれば、Webサイトへのトラフィック(アクセス)を増やすことは、重要な目標となります。トラフィックを増やすことのみならず、クリック率(CTR)、クリック単価、インプレッションなどのマーケティング用語に注目していきます。
新規顧客獲得
ビジネスを立ち上げた時や成長期に注視しなければならないのは、新規顧客獲得とその成長です。新規顧客数、新規顧客の増加、新規顧客あたりのコスト、顧客対リードの比率に注目しつつ、目標を設定します。
リードジェネレーション
顧客を増やすだけではなく、新規顧客をリードに変えて売上を増やすことも目標となります。リード数、リードの増加、リードあたりのコスト、コンバージョン率、マーケティング適格リード(MQL)、販売適格リード(SQL)などの指標をもとに、目標を設定していきます。
顧客サービスの向上
顧客サービスの向上は、チャーンを減らし顧客を維持するために不可欠です。また、既存顧客が将来他の製品やサービスを購入したり、ブランドを他の潜在顧客に広める可能性を秘めています。
マーケティング目標を決めると、後々のマーケティング活動に役立ちます
マーケティング目標を決めることで、Webサイトのマーケティングに時間をかけるべきか、アカウントベースのマーケティングに時間をかけるべきか、あるいはその他のマーケティングに時間をかけるべきかなどを判断できます。
十分時間をかけて調査し、マーケティング目標を適切に決定すると、マーケティング活動の焦点が絞られ、効率的なものとなります。
そのためには、できる限り早く計画を立てて行動に移すことが重要です。マーケティング目標を早く立てれば立てるほど、ビジネスによりよい結果が得られるはずです。